主砲がチームに戻ったからには、交流戦首位は譲れない。9回1死満塁。オリックス4番ロメロの打球が遊撃手のグラブをはじいて大きくはずむ(記録は安打)。6本塁打でいまだ空砲ゼロのロメロが、初のサヨナラ打を放った。「昨年(米国で)サヨナラホームランを打ってはいるんだけど、日本で、こういう雰囲気の中で打てたのはうれしいね」と満員のスタンドを見上げた。

 序盤で阪神に、4点差をつけられた。5月のチーム状態なら、絶望的にも思えた点差。だが今のオリックスには、攻撃の軸がある。5回にT-岡田が14号ソロで反撃を開始。6回にロメロ、小谷野の適時打で1点差に追い上げ、代打モレルが同点打。そして9回、帰ってきた主砲が勝負を決めた。

 左膝大腿(だいたい)骨骨挫傷で出場選手登録を抹消された間も、体重維持に心を配った。日本食をベースにし、野菜をしっかりとって体脂肪を減らした。はやる心をなだめながら、復帰への準備を進めていた。「チームに戻ってこられたのが何よりうれしい」と言う主砲の復帰後、オリックスは7勝1敗。「あそこにいてくれるのは、本当に大きい」と福良監督の声もはずんだ。【堀まどか】