神宮球場を舞台にする花の東京6大学リーグで、新潟県人OBから久々の規定打席到達者が現れた。法大・鎌倉航捕手(3年=日本文理)は今季、リーグ戦初スタメンとなる開幕マスクから正捕手の座を死守。12試合中11試合で先発起用され、チームはAクラスの3位、自身はチーム2位タイの7打点を挙げた。日本文理で甲子園ベスト4入りしたメンバーの中でも、卒業後の実績では1歩リード。充実のシーズンを振り返った。

 正捕手としてフルシーズンを駆け抜けた3年春。鎌倉は最高の笑顔で今季最終戦を終えた。5月21日の東大2回戦で、同学年の菅野秀哉(3年=小高工)を好リード。マスクをかぶって初の完封勝利を喜び、菅野の最優秀防御率のタイトルもアシストした。「最後にきっちり終わることができて良かった」と満足感に浸った。

 チームは6勝4敗2分けの勝ち点3で、2季ぶりのAクラス入り。だが開幕週の早大、次週の立大戦でも勝ち点を落とすなど、1分けを挟んで4連敗で始まった。鎌倉はオープン戦で中村浩人(3年=多良木)との正捕手争いに勝ったが、試練の船出だった。「リードが後手後手に回って大胆になれず、死球も長打も出したくなくて、半信半疑でサインを出していた」。

 転機は第4週の明大戦から。過去8シーズンで5度優勝の難敵に連勝するなど、開幕4連敗の後は1分けを挟んで6連勝で今季を締めた。「明大戦からは割り切って、自分らしいリードができるようになった。配球の意図を(投手に)しっかり伝え、自信を持ってサインを出せるようになりました」。

 思わぬ副産物も。高校時代は「8番捕手」が定位置で、「守備の人」だった男がチーム2位タイの7打点を挙げた。打率は規定打席到達38人の中で34位の2割1分9厘、7安打ながらも「試合の中のターニングポイントで1本打てれば。あいつに回ったら『点入っているな』くらいの感覚になってもらえれば」と、効果的な一打が多かった。

 秋以降の課題はスローイング。今季は12個の盗塁を許し、1度も刺せなかった。中村が強肩を売りにしているだけに、正捕手の座はまだ安泰ではない。「送球の精度を高めるために、キャッチングの精度から上げていきたい。あと、打撃は1試合に1本(安打)ですね」と、正妻として不動の地位を固めていく。【中島正好】

 ◆鎌倉航(かまくら・わたる)1996年(平8)4月26日、上越市生まれ。小学生で野球を始めてから捕手一筋。直江津中3年時に県3位、Kボール県選抜では全国準V。日本文理では1年春からベンチ入りし、同秋から正捕手。3年夏の甲子園では4強入り。DeNA飯塚悟史投手(20)は幼稚園からの幼なじみで、中高の6年間、バッテリーを組んだ。東京6大学リーグは通算15試合に出場し打率1割9分4厘(36打数7安打)、0本塁打、7打点。法学部3年。168センチ、72キロ。右投げ右打ち。