阪神が昨年に広島でプレーしたエクトル・ルナ内野手(37)の獲得調査を行っていることが12日、分かった。新戦力のキャンベルが打撃不振で2軍に降格。糸井も負傷で2戦連続でスタメンから外れるなど、打力の低下が不安視されている。球団は外国人野手の獲得に本格着手。日本野球の経験者もリストアップされており、ルナらが候補に挙がっている。

 阪神が外国人野手の獲得に本腰を入れることになった。チームは「鬼門」とされる交流戦で7勝5敗と健闘。リーグ戦でも首位広島と2ゲーム差と優勝を狙える位置にいる。しかし攻撃面で不安材料を残している。今季、加入したキャンベルが打撃不振で2軍に降格。打線の中心的存在としてけん引してきた糸井も、左太もも裏を痛め、2戦連続でスタメンから外れている。ソフトバンク3連戦では高山、福留、原口の主軸が32打数1安打。打力の低下という課題が浮き彫りになった。

 球団は新外国人の補強に関しては静観の構えを見せていたが、チーム力維持のため、本格的に動きだした。三塁は好調の鳥谷が守っており、一塁手、外野手を条件に選定作業を進めている。球団関係者は「リストアップはしている。スムーズに働いてもらうために、日本野球経験者も検討している」と話す。

 そこで浮上したのが、昨年まで広島でプレーしたルナだ。13年から3年間、中日に所属。14年にはベストナインを受賞する活躍を見せた。長打はないが、確実性のある打撃には定評がある。昨年はCSファイナルステージで負傷。「右肩関節唇損傷」などで全治3カ月と診断され、オフに広島を自由契約となった。

 その後、母国ドミニカ共和国のウインターリーグで実戦復帰するまでに回復。ただ、首脳陣との意見の相違でシーズン途中にチームから離脱した、と地元紙に報道されている。現在は無所属という情報がある。また同じ日本経験者で元中日のアンダーソン・エルナンデス内野手(34)や元広島ライネル・ロサリオ外野手(28)らの名前も挙がっている。球団はNPB未経験の外国人野手も含め、慎重に調査を進めていく方針だ。

 ◆エクトル・ルナ 1980年2月1日生まれ、ドミニカ共和国出身。リセオ・ホセ・マルティン高から99年インディアンスと契約。04年に移籍したカージナルスでメジャー昇格。メジャー通算339試合、打率2割6分2厘、15本塁打、96打点。13年に来日し中日入り。14年セ・リーグ三塁手のベストナイン。16年は広島でプレー。昨季は187センチ、99キロ。右投げ右打ち。

 ◆阪神今季の外国人 昨季も所属したメッセンジャー、ドリス、マテオの3投手に加え、投手メンデス、内野手キャンベルを新たに加えた5人態勢。唯一の野手キャンベルは春季キャンプ中に左手首を故障し、開幕2軍スタート。4月25日に1軍に昇格したものの、21試合で打率1割9分1厘、1本塁打と不振で6月7日に2軍に降格した。一方の投手陣はメッセンジャーが7勝、ドリスが19セーブ、マテオが21ホールドポイントでそれぞれセ・リーグ最高。2軍のメンデスもウエスタン・リーグ最多の12セーブを挙げている。野球協約で、外国人の出場選手登録(1軍登録)は4人以内に限られ、野手または投手として同時に登録できるのはそれぞれ3人以内と決められている(野手4人もしくは投手4人を登録することはできない)。