ヒーローになれるシーンがやってきた。DeNA戸柱が3-3の8回、次打者席で宮崎への敬遠気味の四球を確認した。2死一、二塁。対するのは戸柱勝負に出たオリックス新人の黒木。「そうなるだろうなと思っていた。その中で食らいつきたかった。だから打席では何も考えずに立った」。邪心は捨て、直球を待つ。捕手らしく配球を読んで、右翼スタンドへ勝ち越し3点アーチを描いた。

 今季30打点で筒香に並びチーム2位タイ。得点圏打率はこれで3割5分6厘。バットでも貢献したい2年目の思いは数字に表れている。「気持ちの持ち方を(ラミレス)監督からも教わっている。メリハリが大事。『アウトになっても次はまたくる』。僕の中で一番大きな言葉になっている」。交流戦最後のカード初戦勝利をもたらし、パ・リーグ相手に勝率5割と、堂々と渡り合う。同監督へ恩返しの勝利にもなった。

 これで昨季就任した同監督にとって、通算99勝目。球団では16人目となる節目の100勝に王手をかけた。3番ロペス、4番筒香、5番宮崎という、超強力なクリーンアップに加え、6番戸柱が台頭。「戸柱も敬遠されて『やってやるぞ』と、強く思っていたと思う。クリーンアップをフォーカスする人が多いと思うが、戸柱がステップアップしてくれたことは大きい」と同監督の信頼は厚い。大きな手応えをつかみ、今日100勝目を飾る。【栗田成芳】