敗戦の中にも、希望の光は見えた。2点を追う4回1死二、三塁。阪神中谷は冷静だった。打席に入るとすぐさま、相手の守備位置を確認。「(内野陣が)下がっていたので、前に飛ばそうと思っていけた。内野ゴロでもいいかと切り替えられた」。低めのスライダーをうまくバットに当て、中前に落とす。技ありの一打で、まず1点を返した。

 続く鳥谷が三飛に倒れるも、まだ2死一、三塁と、一打同点の好機。前日まで連日お立ち台に上がっていた原口が打席に向かう。美馬の2球目を強振すると、打球は左翼フェンスを直撃。3試合連続打点となる、一時は同点の適時二塁打を放った。

 原口は「甘いボールをしっかりとらえられた」と適時打を振り返ったが、それよりも悔しさが残った。6回の打席だ。「(2死二、三塁の)チャンスでまわってきたので、なんとかしないと。(ファウルで粘り)我慢比べになったんですけど、当てなければならなかった」。空振り三振に倒れ、8回には痛恨の適時失策。唇をかんだ。

 結果的に敗れたが、7回までは接戦。中谷は6回、2死一、二塁で右翼後方を襲った藤田の飛球をジャンプ一番、キャッチする好プレーも見せた。僅差での戦いが若虎たちを強くしていく。【真柴健】