DeNA飯塚悟史投手(20)が、初登板初先発で5回無失点で快投した。高卒3年目でのデビュー。「こんなにいい投球ができるとは思わなかった。1球投げたときに自分の世界に入って緊張がとれた」。

 1回から直球で攻める。1人目の武田を中飛でアウトを取ると、続く小島をフォークで空振り三振。2回にもフォークを決め球に2つの空振り三振を奪った。

 理想通りの立ち上がりを見せ、対するオリックスは同じ新潟出身の金子千尋投手(33)だった。地元テレビ局3局が訪れる注目の同郷対決。実際は年俸5億の金子に対して、飯塚は520万円(いずれも推定)。100倍近い数字同様に、キャリアの差はあった。3回まで互いに無失点。しかし4回、宮崎の先制タイムリーで援護を受けた。打たれたヒットはマレーロの中前とT-岡田の右中間二塁打の2本。5回、最後の打者はその金子からフォークで空振り三振を奪い、降板した。

 勝ち投手の権利を得て退くと、篠原投手コーチから「ナイスピッチング」と声を掛けられた。最速145キロの直球と落差のあるフォークがさえ渡った。「球界を代表する投手と投げ合えて、これからにつながる」と手応え。一時4点リードまで広がって迎えた終盤。後続が打たれ白星が消える。「これも野球だと思う」。必死に現実を受け止めた。

 初勝利こそ逃したが、次なるチャンスはある。アレックス・ラミレス監督(42)は「今日1軍レベルの投球を見せてくれた。日程的に一時登録抹消するが、また使いたい」。6月4日には、地元新潟で阪神戦が行われる。「そこで誰が投げるかはオープンな状態。飯塚が投げることも視野に入れて考えることができる」と指揮官。飯塚も「新潟での試合に使ってもらえるように頑張りたい」。確かな自信を得て、凱旋(がいせん)試合を思い描いた。