左太もも裏を負傷している阪神糸井嘉男外野手(35)がリーグ戦再開ゲームとなる23日広島戦(マツダスタジアム)でスタメン復帰することが19日、確実となった。9日に負傷して以降は首脳陣がはやる糸井にストップをかける形が続いていたが、金本知憲監督(49)がいよいよGOサイン。3ゲーム差で追う首位広島との3連戦に、虎はベストメンバーで臨む。

 機は熟した。対戦相手、舞台ともにこれ以上ない。糸井が満を持してスタメンに帰ってくる。リーグ戦再開試合となる23日広島戦で14日ぶり、9試合ぶりに先発することが確実となった。「いけるやろ。いってもらうしかないし」。金本監督がついにストッパー解除を明言した。

 糸井は9日ソフトバンク戦で左太もも裏の筋挫傷を発症。翌10日に移籍後初めて欠場するなど、それ以降は代打待機が続いていた。糸井がスタメンを外れてからの8試合でチームは4勝4敗。打線は計25得点の数字以上に苦しんだ。交流戦明けのノーゲーム4日間が終われば、いきなり3ゲーム差で追う首位広島との敵地3連戦が待つ。糸井は今季、マツダスタジアムの広島戦では9打数で1発を含む4安打の打率4割4分4厘、5打点。3連戦初戦の登板が予想される左腕ジョンソンとは、シーズン開幕戦(3月31日)に3打席でタイムリー2本の3打点&1四球と「完勝」している。超人のスタメン復帰戦にはこれ以上ないタイミングといえる。

 糸井はベンチスタートが続く中、何度も先発復帰に懸ける情熱を体で表現している。時には甲子園アルプス席で力強い階段ダッシュも披露。それでも首脳陣は長いシーズンの先を見据え、「我慢」を選択してきた。指揮官は「本人が一番ふがいないと思っているだろうしね。彼は気持ちは十分ある。とにかくコンディションを整えて」と胸中をおもんばかる。試合に飢えた男のみなぎる気合が、ナインに力を与えないはずがない。

 前日18日楽天戦では9回裏に代打登場し、代打ではプロ通算17打席目で初安打となる右前打を決めた。患部の回復も進み、ちょうど上昇気流に乗ったところだ。片岡打撃コーチは糸井の打順について「基本は3番か1番。高山との兼ね合いもあるんだけど」と説明。慣れ親しんだ打順にどっしり座り、いざ再スタートを切る。【佐井陽介】