阪神福留孝介外野手(40)が復活の7号2ランをブチかました。1点リードの3回、右中間へ会心の1発。5月27日DeNA戦(甲子園)以来、45日ぶりの1発で復調を印象づけた。後半開幕の17日広島戦(甲子園)からは、新外国人のジェイソン・ロジャース内野手(29=パイレーツ3A)と左アキレス腱(けん)断裂から再起を期す西岡剛内野手(32)も復帰の見込み。役者がそろい、目覚めた主砲が後半大逆襲を導く。

 4番が倉敷で息を吹き返した。1点リードの3回裏1死一塁。福留がジョーダンの直球を振り抜いた。打球は力強く飛んだ。右翼席に飛び込む7号2ラン。5月27日のDeNA戦(甲子園)以来、実に1カ月半ぶり。待ち焦がれた放物線だった。「後ろにつなぐ意識で打席に入った。甘く入ったボールをしっかりととらえることができた」。5回には先頭打者で中前打を放ち、5得点猛攻の口火を切った。主軸が打てば、打線も活気づく。紛れもなく、圧勝の立役者だ。

 倉敷は福留にとっても、パワースポットである。99年の夏。中日に入団した1年目に球宴初出場を決めた。当時のポジションは遊撃手。セ・リーグの指揮を執った横浜・権藤監督による監督推薦で選ばれた。西武ドーム、甲子園と続き3戦目に行われたのが、この倉敷だった。イチロー、松井、新庄…。日本球界の歴史を彩ったレジェンドに上原、松坂ら同期のルーキーたちも出場。超豪華なオールスターだった。「先輩の方に野球に対する考え方など聞いてみたい」と、ワクワクしながらスターの仲間入りを果たした。思い出の場所で、阪神入団後は打率3割7分5厘と打ちまくっている。今年も例外ではなかった。

 福留の復活を誰よりも喜んだのが、金本監督だった。「孝介には負担をかけ過ぎている。年齢的にも、休み休み出させてあげたいが、現状でそういうわけにもいかず、無理させて申し訳ないが、今日はよかった」。6月は右手中指負傷の影響もあり、打率1割5分2厘と低迷。本来は週に1度の休養日が設けられる予定だったが、貧打というチーム状況もあり、4番で出続けた。「他球団なら、阿部とか新井とかね。同じくらい休みをあげながら、出させてあげれば、もっといいものが出ると思う。酷使させているチーム状況、周りの選手もみんなの責任と思わないとね」。指揮官は心の内を明かした。後半戦には、いきなり広島との決戦が待っている。ロジャースや西岡だけではない。福留が復調すれば、これ以上ないプラス材料だ。【田口真一郎】

 ▼阪神福留が1カ月半ぶりの7号2ランを含む2安打。福留は5月半ばに打率3割を切ると徐々に数字を下げ、7月1日には2割4分6厘まで落ちた。だが、そこから巻き返し、2割5分9厘まで上げた。もともと、福留は7月に強い。この日を含め、プロ通算で3割4厘を打っており、本塁打も31本、打点125を記録している。7月はまだ13試合あり、さらに“夏男”の猛打が期待される。