空前絶後の超絶どとうのホームランアーチストだ! 楽天の最強2番打者のカルロス・ペゲーロ外野手(30)が5回、推定170メートル級の超特大20号2ランを放った。前半戦最後の試合でマークした決勝弾は、来日2年目で節目の1発。この2点を投手陣の継投で守りきった。2位ソフトバンクとの直接対決を制し、4連勝で貯金を今季最多の26に伸ばした。

 「イエーイ」と叫ばんばかりに、体を反らした。ペゲーロがバットを豪快に振り回した。客席が一瞬でシーンとなる中で「打った瞬間にいったと思った」。数秒間立ち止まり、打球の行方を見つめた。球場のカメラも追いつけないほどの弾道。右翼スタンドの上段を越えた。145メートルと表示されているラインを余裕で上回った。球場に設置されている弾道測定器「トラックマン」によれば、時速193・5キロ、飛距離は156・4メートルだった。ただし、壁がなければ…。球団関係者は「170メートルくらいじゃないでしょうか」と目を丸くした。

 相手の大砲、ソフトバンク柳田を「すごかった。あんなホームランを打てるように頑張る」と言わしめた特大アーチは、こうちゃく状態の中で生まれた。0-0の5回2死一塁、ソフトバンク先発の松本裕のど真ん中141キロ直球を打ち砕いた。「あの1発で勝てたことがうれしい」。右手親指のマメをつぶし、流血しながら6回無失点に抑えた先発岸を援護した。

 まさに、ホームランを愛し、ホームランに愛された男。これまでもド級の本塁打を量産してきた。5月27日西武戦で放った右翼席場外へのグランドスラムは、Koboパーク宮城に設置されている弾道測定器で153・1メートルと計測された。14年の同システム導入以降、最長記録だった。ドでかい1発がよく似合う。

 プロ入り前の時点では考えられなかった。「当時はホームランを打つ選手ではなかった」。約99キロだった体重は、今では119キロに増量した。「トレーニングを積んで今がある」と長い下積みを経て、大舞台で結果を残した。昨季途中に加入し、来日2年目でマークした節目の20発。梨田監督も「見ていなかったんだよ。どこまで飛んだか分からなかった」と笑うしかなかった。チームは4連勝で貯金は今季最多の「26」。左翼スタンド上段に集まったファンも「イエーイ」と叫んだはずだ。【栗田尚樹】