阪神岩貞祐太投手(25)が1球に泣いた。先発ローテションの座をかけた背水マウンドで、DeNA今永としびれるような投手戦を展開。6回まで2安打無失点に封じたが、7回先頭の筒香にソロ本塁打を許し、この1点で勝負が決まった。岩貞は今季7敗目(4勝)。勝利はつかめなかったが、次につながる好投だった。

 復調の兆しを見せた。だからこそ悔やまれる1球になった。先発岩貞は、7回無死でDeNA筒香を迎えた。初球。内角高めの真っすぐで入るつもりだったが、真ん中寄りに甘くいってしまった。待ってましたとばかりにフルスイングされ、打球は浜風を切り裂いて右翼席に消えた。まさに痛恨の1発。打球方向を見ることもなく、唇をかみながらマウンドに立ちつくした。

 岩貞 だいたい(課題のクリアは)できていたけれど、あそこまできて長打がNGのところで打たれたので…。

 8回を投げきり、今季最多タイの9奪三振。与えたのは1四球で被安打はわずか3だった。昨季はDeNA戦5試合に先発して、4勝1敗。今季も相性の良さは発揮した。失点も筒香のソロのみではあったが7敗目(4勝)を喫した。

 まさに背水のマウンドだった。前回18日広島戦に先発し、3回6失点でKO負け。試合後に金本監督は「不安げに投げているというか、思うようにいかないというか。首位のチームとやるような投球では全くない」とバッサリ。先発ローテ脱落の危機を迎えていた。

 21日の試合前練習中に、投手陣の兄貴分である藤川からアドバイスをもらった。「(テークバックの際に)右肩が返っているから気をつけろ」。キャッチボールから、腕の振り方や体重移動などを修正。この日の投球につなげた。

 指揮官は「ラストチャンスだったけど、今季一番いいように見えたけどね。次もというか、いつもああいう投球をしてほしい。いいモノを持っているんだから、それをどんどん出してほしい」と左腕に期待した。DeNAに肩を並べられたのは痛いが、岩貞の復調は大きい。【山川智之】