日本ハム中島が、右翼ホームランテラスにプロ初本塁打を放った。9年目、2287打席目での本塁打は、球界史上もっとも遅い。俊足がウリの中島が、初めて、ゆっくりとダイヤモンドを1周した。「(外野手を)越えるとは思ったけど、入るとは思わなかった」。実は野球を始めた小学生以来、本塁打を「打ったことはないです」と話す。プロ9年どころか人生初のアーチだった。

 ファウルでの粘りが真骨頂。三塁側ベンチでは、敵味方関係なく、ファウルに備えてグラブを構えるのが定番になった。だが今季は、さらなるレベルアップを求め、打球角度にもこだわって練習してきた。「(打撃を)大きく変えてやっている」。飛距離アップの努力が実を結んだ。

 投手のデータなど、頭を整理するため、毎試合前に、フェアグラウンドで黙々とダッシュを繰り返す。イベントでGLAYが来場し、照明が暗転、本塁付近でメンバーが演奏を始めても、ルーティンは変えなかった。グラウンドに立つのは、TERU、TAKURO、JIRO、HISASHIと、中島。ナインを驚かせた一本気が、ついに打球をスタンドに運んだ。「(今後の)プラスにしてやっていきたい」。取り組みが間違っていない。まさに1発回答だった。【本間翼】

 ▼中島が通算2287打席目でプロ初アーチ。プロ初打席から本塁打なしの記録は継続中の岡田(ロッテ)の2483打席。中島の2286打席本塁打0は2位の記録だが、岡田はまだ本塁打を打っておらず、プロ初本塁打としては98年4月12日村松(ダイエー)の1566打席目を抜き、最も打席を要した1号となった。