連勝は止まったが、西武の底力を見せつけた。首位ソフトバンクを相手に4点を追う9回裏、先頭金子侑の中前打から打線がつながり、1死満塁から山川の左前打で7-7の同点に追いついた。延長10回に勝ち越され、連勝は13で止まったが、勢いは衰えていない。西鉄時代の1957年(昭32)に達成した球団記録の14連勝には届かなかったが、仕切り直して大逆転Vを目指す。

 辻監督の表情には手応えがにじんでいた。連勝こそ止まったが8、9回で6点差を追いつく神懸かり的な粘り。「追いついたのは見事。あと1歩だったね。それは勝ちたかったけど、いい負け方」と、選手の底力をたたえた。

 土壇場での積極性と、決して諦めない姿勢がドラマを生んだ。4点差で迎えた9回。金子侑、秋山の連続安打はともに初球。続く源田が冷静に四球を選び、浅村の2点打を呼んだ。続く4番中村は全力疾走の内野安打。「ベンチも盛り上がって勢いに乗せてもらい、思い切り振ろうと思った」という山川の同点打につなげた。

 1球ごとに沸き起こる大歓声。3万2579人の観衆で埋まったメットライフドームが揺れた。指揮官は「これだけの応援が食らい付く気持ちにつながった。ファンの力が大きい」と感謝した。首位相手の連夜の好ゲームを支えてくれた大声援のためにも「(選手は)この気持ちを忘れないでもらいたい。そうすれば若い選手は伸びるし、絶対強くなる」と力を込めた。

 あと1歩で、60年ぶりの14連勝はならず、野武士軍団に追いつけなかった。それでも連勝の中からつかんだものは大きかった。序盤、2失策をしながらも4打点をマークした主将浅村は、口元を引き締めて言った。「連勝のプレッシャーを感じながらプレーする中で守備でミスしたことが一番悔しい。連勝は止まりましたけど、こういう戦いをしていけば上も必ず見えてくる。明日から頑張りたい」。7月19日以来の黒星を糧に、しっかりとかぶとの緒を締め直した。【佐竹実】