緊張から解き放たれた中日若松が、両こぶしを握り、おたけびを上げた。7回無死一、三塁の大ピンチ。犠打と投ゴロで2死一、三塁にこぎ着けて迎えた代打大松を、こん身の内角直球で一飛にしとめた。「何も考えずというか、必死に腕を振りました」。無失点でリリーフ陣につなぎ、完封リレーを完成させた。

 4月に4試合で3敗し、2軍落ち。腰痛もあり、不振は深刻だった。高山2軍投手コーチの提案で、春の北谷キャンプと同メニューで一から体作りを始めた。「1本足でちゃんと立てている。それが大きい」と言えるようになり、直球にもキレが戻った。昨年7月9日以来399日ぶりの勝利。「入れそうな枠もないし、今年は終わったかなと思っていた。ラストチャンスのつもりだった」。笑顔なく、苦悩の日々を振り返った。

 15年に10勝して台頭した。大卒ドラフト1位ルーキー柳とは同学年だが、正反対の7位入団。泥臭く、また晴れ舞台に戻ってきた。「自分でチャンスを逃し、前半戦は何もしていない。迷惑をかけた分、何とかチームの力になりたかった」。昨年8月に監督代行になった森監督の下では、ようやくの初勝利。これから白星で返していく。【柏原誠】