広島打線の気迫が、京セラドーム大阪を支配した。4回に菊池が死球を受けると、ベンチから選手たちが出てきた。石井打撃コーチが、相手捕手の梅野に詰め寄り一触即発の状況となった。2回にも投手の大瀬良が死球を受けていた。乱闘寸前になる気迫。底力で約2カ月半ぶりの先発となる藤浪に襲いかかった。

 この日はエルドレッド、新井をベンチに置き、直球に強い安部、西川をスタメン起用。不動の菊池、鈴木、石原以外は左打者を並べた。内野安打あり、ヒットエンドランありで藤浪を揺さぶる。1回に5番松山が「犠飛でいいと思った。よく飛んでくれた」と左翼フェンス直撃の適時打で先制。3回には西川、安部が「何とかしたかった」と起用に応えて2点を追加した。

 異様な空気は終盤まで続いた。1点差に迫られた後の7回だ。代打新井の適時打で2点差に広げ、さらに2死一、三塁の好機。代打岩本が放った打球は左翼フェンスに直撃した。だが判定はファウル。ボールは転々としていた。緒方監督が抗議に出た。リプレー検証の末に判定が「オンラインのフェア」に変わった。

 その後だ。責任審判の丹波審判が「二、三塁」からの再開をアナウンスすると、緒方監督が鬼の形相で再びベンチを飛び出した。一塁走者の生還、岩本も三塁に達しているのではないかとの抗議とみられる。終盤の攻防は1点が試合を大きく左右する。戦う集団を率いる指揮官として、身ぶり手ぶりで抗議した。

 ベンチ全体からあふれ出る気合で接戦を制した。緒方監督は「チーム一丸となって勝てたので、また明日。しっかりと戦いたい」。4連勝で貯金は今季最多の29。優勝へのマジックを26とした。【池本泰尚】