日本ハム西川遥輝外野手(25)が、満塁本塁打など3安打でサヨナラ勝利に貢献した。1-1の同点に追いついた2回、1死満塁から右翼席へ運んだ。昨季の日本シリーズでサヨナラ満塁弾を放っているが、レギュラーシーズンは2年ぶり2本目。今季は満塁機で9打数無安打だったが、チーム今季初の満弾で6月2日以来の3連勝につなげた。

 派手な1発がチームを活気づけた。西川が2回に6号満塁本塁打を放った。昨年の日本シリーズ第5戦で放った史上2人目のサヨナラ満塁アーチ以来のグランドスラムは、チームにとっても今季初だった。お立ち台では「なんとか早く終わらせてくれと思った」と話し、場内の笑いを誘った。延長11回、サヨナラ勝利の余韻に浸った。

 昨秋の劇的満塁弾のイメージと相反し、今季は本人にとっては鬼門の場面だった。満塁では9打席無安打。「自分にプレッシャーをかけながら打席に入った」とあえてその数字を意識した。同点に追いつき、なお続く1死満塁のチャンス。2ボールから140キロのスライダーを振り抜き、「おそらく入ってくれるだろうと思っていた」と確信した放物線を見つめ、スタンドの歓声を気持ち良く受け止めた。

 日本一に王手をかけた、あの1発ですっかりチームの顔になった。地元和歌山では「西川遥輝杯でもやろうか」と、小学生向けの名前を冠にした大会開催の声も挙がるほど。それでも本人は「名前なんか何でもええやろ」と、野球教室などで恩返ししたい考えを明かしているという。

 今年初選出された球宴でも特大弾を放つなど派手なプレーが目立つが、影では地味な努力家。試合後帰宅してから12時間も経たずに球場入りし、ケアや練習に時間を割いている。「時間が足りない」となげくほどでビジターではこの「ルーティン」をこなせず苦しむ。本塁打後も2安打と猛打賞、盗塁もリーグ最多に並んだ。「いい状態で打席に立てれば」と、すでに頭の中は24時間をきった次の戦いに切り替わっていた。【保坂果那】