阪神中谷将大外野手(24)の「4番1号」は空砲に終わった。0-1の4回2死、ヤクルト石川の2球目をとらえて14号ソロを左翼席に運び、続く大山の本塁打を誘発。連続弾で逆転しチームを勢いづけたが、その裏の左翼守備でヤクルト・リベロのライナー性の飛球を捕りきれず、二塁打にして失点のきっかけを作ってしまった。この日4打席に立って規定打席に到達(打率2割5分1厘で25位)したものの、喜べない「記念日」になってしまった。

 中谷が4番の仕事をやってのけた。1点ビハインドの4回2死。1ストライクからヤクルト石川の外角へのカットボールに食らいついた。神宮の夜空に高く舞った打球は、そのまま左翼席に着弾した。試合を振り出しに戻す14号ソロは、次打者大山とのアベック弾となり、チームに勢いをもたらした。

 中谷 打てて良かったです。

 7月12日中日戦以来、今季4度目の4番起用だった。前回は3安打1打点。つなぎの4番として存在感を放ったが、この日は4番で初アーチ。金本監督の喜ぶ放物線で「1発回答」した。

 この一撃が今季14本目。昨年は163打席で4本塁打だった。40打席に1本だった昨年から、今年は24打席に1本とペースアップしている。要因について片岡打撃コーチは「今年はホームランが出やすい球場で稼いでいるね」。比較的球場が狭くて本塁打の出やすいと言われる神宮と横浜で3本ずつ、風の影響を受けない東京ドームで1本をマーク。横浜に至っては場外弾をかっ飛ばしている。そうした球場での見極めが今季の量産の要因ということなのだろう。

 ただ、本塁打を放った直後の守備でヤクルト・リベロのライナー性の当たりの目測を誤り、捕りきれずに二塁打にした。ピンチを招いて失点した上に、チームも敗戦。手放しで喜ぶことはできなかった。

 今年の1月で24歳を迎えた若武者。まだまだ課題は山積みで、片岡コーチは「真っすぐをもっととらえられるようになっていかないとな」と厳しい言葉も残した。5回1死二塁の勝ち越しのチャンスではヤクルト石川のストレートの前に空振り三振。若武者の修行は、まだまだ続く。【山川智之】