元気があれば何でもできる、ハマスタ劇場なら3試合連続サヨナラ勝利もできる! DeNAが9回に代打後藤武敏内野手(37)の二塁打から始まり、9番倉本寿彦内野手(26)がスピンのかかった内野安打でサヨナラへ導いた。3試合連続サヨナラ勝利は、球団史上では初の日本一に輝いた60年6月以来57年ぶり2度目の快挙。逆・神ってるハマスタ劇場で、首位・広島から3連勝を収めた。

 わずか50センチだけ届かなかった闘魂の1発を、9番倉本がポテンヒットで埋めた。9回、代打・後藤が右中間フェンス上部の電光掲示板に直撃する二塁打を放った。続く倉本はフルカウント。振り抜いたバットは、146キロの高めの直球の下をかすめた。バックスピンがかかった打球のバウンドは、人工芝にひっかかって勢いを殺した。名手・菊池のグラブの下をくぐり、サヨナラタイムリー。その感触を「最高でした!」と言った後、「ラッキーでした」と笑顔で言い直した。

 じわりじわりと、風向きが変わっていった。この試合も3点ビハインドから反撃開始。6回、4番ロペスが3試合連続ソロアーチ、7回には前夜にサヨナラヒットを打った梶谷が左中間スタンドに運んで1点差に追いついた。連日連夜のハマスタ劇場。その波に乗った筒香が、8回に同点タイムリーで追いついた。先発今永が1回先頭の田中から投手強襲で右ふくらはぎを痛打され、不安定な投球で5回4失点。逆風にさらされたが、終盤には完全に追い風が吹いていた。

 9回に何かが起こるハマスタ劇場。2死でアントニオ猪木氏のテーマソング「炎のファイター」が流れるとゴメスの異名を持つ後藤が登場した。チーム最年長で、代打の切り札。ハマスタ劇場の熱風を追い風に、打席に入りサヨナラにつながる1打を放った。11日には、イベントで同氏が訪れ試合前にビンタで闘魂注入されていた。2週間遅れで闘魂こもった殊勲打に「(スタンドまで)いってくれという感覚だった。勝つことが一番大事」と喜んだ。

 3試合連続サヨナラ勝利は60年以来57年ぶりの快挙。その年に球団初の日本一に輝いている。ラミレス監督は「いい兆候だが、今一番集中しないといけないのは明日からの神宮でのヤクルト戦」と、奇跡の余韻に浸ることなく、次へと目を向けた。【栗田成芳】

 ▼DeNAが22、23日に続いてサヨナラ勝ち。3試合連続サヨナラ勝ちは15年中日以来、15度目のプロ野球タイ記録。DeNAでは初優勝した大洋時代の60年以来、57年ぶり2度目になる。同一カードでは78年ヤクルト、97年日本ハム、08年阪神に次いで4度目だが、首位相手に3試合連続サヨナラ勝ちは初めてだ。また、途中のスコアが22日は1-5、23日は0-5、24日は1-4と、3試合ともリードされた試合を逆転。サヨナラ勝ちした3試合すべて逆転は78年ヤクルト、09年ヤクルト、11年オリックスに次いで4度目。3試合とも3点差以上をひっくり返してサヨナラは初めてになる。