「今日もパワフルにプレーする」。DeNA筒香嘉智外野手(25)が、グラウンド入りの前に必ず唱える言葉だ。

 打撃練習の前に、慣らしでノックバットを握る。細くて長いバットは遠心力が働き、軽く振ってもスタンドに入ってしまう。ポイントを近くして飛距離を抑え、角度をつけて高々と打つ。急勾配のハマスタ最上段を越えて、約40メートルの高さまで打ち上げる。

 DeNAファンは、試合開始直前の一塁側ベンチを見逃さない方がいい。筒香が1人1人を回って、力いっぱい握手する。あまりの強さに手を押さえたり、筒香がまた、どつき返したり。パワフルな鼓舞でゲームに入る。どんな試合の翌日でも変わらない。「一喜一憂しなくなっている」。8回の23号は「普通です」。ただこう加えた。「完璧でした。いいホームランでしたよ」。

 1死無走者の初球。高め142キロ。アッパー気味に、でも左腕をギュッと押し込み、昼間のノックバットと同じで高々と打った。最高到達点は41メートル。ハマスタの枠を超えて夜空に突き抜け、バックスクリーン右深くへ突っ込んだ。

 2位阪神と4・5差。「いつも通りできた。バッテリーがいい流れを持ってきてくれたから打てた。誰が打とうが勝てばいい。全力で、最後まで頑張るだけです」。役どころを分かっている主将を中心に、Aクラスのしのぎ合いをパワフルに突破する。【宮下敬至】