ソフトバンクがオリックスに8-0と圧勝し、今季3度目の6連勝。貯金を今季最多44とし、優勝マジックを「10」とした。最短Vは13日。3回にはアルフレド・デスパイネ外野手(31)がパ・リーグ一番乗りの30号3ランを右翼席へたたき込み試合を決めた。投げては武田翔太投手(24)が今季初の完封勝利と隙のない戦いで、一気にゴールへ駆け込む。

 デスパイネ本人が驚く1発だった。3回2死二、三塁。オリックス左腕山田の直球をとらえた打球は、右翼席最前列に飛び込んだ。「バットの先っぽだったので、抜けてくれ! と思い全力で走った。まさか入るとは思わなかったよ」。ナインとハイタッチ後、ヘルメットを脱ぎながら左足を上げる決めポーズでいつものように左翼席の鷹党にあいさつ。背後で柳田がマネしていることに気づくと、再び一緒にポーズを取って喜んだ。「一緒に喜んでふざけているだけだよ」と笑う。一気に試合の流れを決める1発でベンチのムードは最高潮だ。

 ヤフオクドームで最近、右方向へ向かって打つ練習をしている成果が出た。左翼へ気持ちよく引っ張って練習する時は不調のサイン。振り遅れ気味でも右方向へ放り込めるパワーを生かす研究を続けている。29号で並んでいた柳田を抜きパ・リーグ30号一番乗り。「それはただの通過点。チームに追加点、打点を挙げていることが勝利に貢献していることだと思う」と、来日5年目で初の大台にも無関心だった。

 15年日本一の時の5番李大浩(31本塁打)が抜けた昨年は長打力不足に泣かされた。最大11・5ゲーム差を日本ハムに逆転されV逸した要因のひとつだった。ロッテからデスパイネを補強し、その弱点を一気に解消。打率は高くなくても打点はチーム2位の87打点。勝負強さでも貢献している。

 先週は日本ハム、楽天相手に4勝1敗ながら、打線は1試合平均4・6安打、得点も2・2点だった。今週は2戦連続11安打。工藤監督も「打線はこれで上がっていくと思う。ナイスゲームでした」と手応え十分。マジックは「10」となり、最短Vの13日は、ヤフオクドームでのオリックス戦。地元での胴上げも夢ではない。【石橋隆雄】