広島薮田が変わり身投球で中日打線を手玉に取った。2度目の完封で14勝目を挙げ、15勝とした巨人菅野を追走。チームの優勝マジックも7に減らした。

 いつもの150キロ超の直球で押すスタイルではなかった。この日は140キロ台後半の真っすぐを主体にカーブを交え緩急を巧みに使った。試合前のブルペンで「ワインドアップの感覚が良くない」と判断。制球とテンポを重視し、立ち上がりからセットポジションで投げた。1回は1死一、二塁のピンチを招くも、次第に安定した。「ストライク先行で、先頭(打者)もしっかり取っていけた」。「剛」から「柔」に姿を変えた投球でリズムに乗り、終盤のピンチも切り抜けた。

 チームを救う完投でもあった。勝利の方程式の中崎、今村が3連投中と登板過多の中継ぎ陣を休ませ、ナゴヤドームの連敗も5で止めた。「投げ切れたことが一番うれしい」と自身の記録よりも、チームに貢献できたことを喜んだ。緒方監督も「すごいね。(6回5四球の)前回の反省を生かしてセット投法で安定した投球をしてくれた」と賛辞を惜しまなかった。成長株の好投で9月負けなしの7連勝。最短13日DeNA戦にも決まる連覇へ、そのスピードは緩めない。【前原淳】