オリックスの2年目・杉本裕太郎外野手(26)が、プロ初安打を初回先頭打者弾で飾る、外国人選手を除けばプロ野球3人目となる快挙を達成した。この日、今季初の出場選手登録。即「1番・中堅」で先発起用され、楽天辛島から連勝を呼び込む1発。「やっとプロ野球選手になれたという感じです」と胸を張った。

 グラブには、漫画「北斗の拳」でおなじみのラオウのせりふ「わが生涯に一片の悔いなし」の刺しゅうがある。男としての強さにあこがれ、主人公ケンシロウの敵役を愛してやまない。

 昨春のプロ初キャンプ直前、マーリンズ・イチローの指名で合同練習。6月14日の阪神戦で先発も経験した。だが3打数無安打ですぐに2軍へ。力のなさを痛感した直後に右肘の痛みに襲われ、8月に骨棘(こっきょく)除去手術を受けた。心身ともに行き詰まり、オフはまたイチローの練習に加えてもらった。

 だが「イチローさんに迷惑がかかる」と極秘にした。世界の大打者に教えてもらいながら結果を残せなかった自分が、恥ずかしかった。門下生を堂々と名乗れるよう「1軍で活躍する」。それもモチベーションになった。悩んで苦しんで“オリックスのラオウ”は強くなった。【堀まどか】

 ◆杉本裕太郎(すぎもと・ゆうたろう)1991年(平3)4月5日、徳島・阿南市生まれ。小1で野球を始め、軟式野球部に所属していた中学3年時はエースで3番を任され、四国大会3位。徳島商では1年夏に甲子園出場も出番なし。高校通算12本塁打。青学大、JR西日本を経て15年ドラフト10位でオリックス入団。遠投115メートル、50メートル6秒1。190センチ、94キロ。右投げ右打ち。

 ▼2年目の杉本が先頭打者本塁打。杉本の1軍出場は3打数0安打に終わった昨年6月14日阪神戦だけで、この1発がプロ2試合目の初安打。外国人選手を除き、プロ1号が先頭打者本塁打は16年5月3日浅間(日本ハム)以来32人目だが、「プロ初安打が先頭打者本塁打」は52年6月26日種田(南海)12年9月29日宮崎(オリックス)に次いでプロ野球3人目。