今季閉店前に、すしの大売り出しだ。日本ハムのブランドン・レアード内野手(29)が、西武戦で決勝の30号ソロを放った。3年連続30本塁打到達は、球団の外国人選手では80~83年ソレイタ、90~93年ウィンタースに続き史上3人目。チームに連勝を呼び込む1発で、リーグ最多に再び並んだ。2年連続本塁打王へラストスパートだ。

 両チーム無得点の4回2死。打席に入るレアードは冷静だった。この回先頭の大谷、中田への西武多和田の攻め方を見ていた。チームが33イニング無得点に封じられている相手右腕の投球を「初球を変化球で入って来ていた」と頭に入れた。自身へも同じように初球104キロのカーブ。迷いなく狙い打ちした。白球を左翼スタンドに運び、今季“30貫目”のすしポーズだ。来日から3年連続の大台。「30本というのは自分の中で大きな数字。誇りに思う」と喜びをかみしめた。

 アーチを届けた。スタンドでは米国から応援に駆けつけた両親やいとこら家族が声援を送っていた。母ビッキーさん(59)は「(明日11日の)30歳の誕生日前に30本塁打を打てて良かったわね」と大興奮。今日10日の札幌への帰宅後に予定していた誕生日パーティーは、メモリアル達成の祝いも重なった。

 1年前の歓喜の瞬間に重なる偶然。予感はあった。昨年9月28日、同じ球場での西武戦。リーグ優勝を決める1発を放っていた。スコアも一致の1-0で大谷が完封した試合。同じ4回に浴びせた先制ソロが決勝弾となった。試合前に「今日はそろそろ30本目が出るんじゃないかな」と家族と話していたのが実現した。

 来日1年目から起用する栗山監督も「調子悪いけどね。アイツらしいよね。打ち方を知っている」と、節目に王手をかけてから14試合ぶりの1発に拍手を送った。すし好きの陽気なキャラクターが人知れず悩む姿を見てきた。打率を気にして何度も指揮官のもとへ謝罪に訪れていた。だからこそ助っ人への信頼は揺るぎない。

 本塁打数はソフトバンク・デスパイネに並びリーグ首位に立った。2年連続キングへ残り22試合、今季の閉店は近づくが、すし屋の大将が大盤振る舞いを見せてくれるはずだ。【保坂果那】

 ▼日本ハム・レアードが30号本塁打。15年34本、16年39本に続く3年連続30本塁打で、球団の外国人選手では3人目になる。4年連続30本以上が過去2人おり、ソレイタが80~83年(45、44、30、36本)、ウィンタースが90~93年(35、33、35、35本)に記録。