お待たせしました! 打撃不振に苦しむ巨人坂本勇人内野手(28)が、8月1日以来32試合ぶりの3安打猛打賞で復調ムードを漂わせた。8回には8月22日以来15試合ぶりのタイムリー。2割台に落ち込んでいた打率を再び3割に戻した。ナイターで3位DeNAが敗れ、ゲーム差なしまで追い詰めた。勢いをつけて、12日から阪神、DeNAとの勝負の5戦に挑む。

 最後の打席に最良の一打が出た。8回2死一、三塁。ここまで2安打の坂本勇が、左腕中沢の内角低めをたたきつぶした。先端を真っすぐに上げたバットを振り下ろし、センター前へライナーをはじき返した。「自分のタイミングで、自分のスイングでした」。チーム6点目のタイムリーは、自身にとって約1カ月ぶりの3安打猛打賞となった。

 悩み、苦しんだ先に再上昇の兆しが見えてきた。8月中旬から打撃不振が続き、8月の月間打率は2割2分1厘、9月に至っては試合前までに7分7厘と低迷した。8月31日の広島戦では、見逃し三振後に珍しくベンチでバットをたたきつけて悔しがった。「タイミング、打ち方の問題です。打たされている」。3月のWBCを戦い抜いて突入したシーズン。真夏を過ぎて、激戦の疲労が色濃く現れ出した。苦境を打破しようと、以降は若手に交じり早出特打で汗だくになった。

 そんな姿に手を差し伸べる人がいた。5日の松本遠征。ティー打撃でスイングを確認していると、阿部に声をかけられた。真剣な表情で、身ぶり手ぶりを交えての打撃指導を受けた。「阿部さんにアドバイスをいただきました。『ヘッドを立てたほうがいいよ』って。高いボールを打ってみればとのことでした」。直後から、顔付近のボールをたたきつけるように打つティー打撃に没頭した。忘れかけていた感覚だった。

 5日の試合で4試合ぶりの安打を放つと、打撃は緩やかな上昇曲線を描いた。本来の打撃を取り戻しながら、この日ついに3安打1打点で打率3割に復帰。一定の手応えを得て、阪神、DeNAとの直接対決5戦に突入する。「マギーの調子がいいので、僕がつなげればチャンスが増える。しっかりと、明後日の試合につなげたい」と意識した。11年連続のCS進出には、坂本勇の打棒が欠かせない。【松本岳志】

 ◆坂本勇の低迷 今季は3月から7月まで月間打率3割以上をマーク。3安打した8月1日時点で打率3割3分7厘の首位打者だったが、そこから勢いが止まった。8月8~16日に26打席連続無安打を記録するなど、8月の月間打率は2割2分1厘。9月も前日までの7試合は26打数2安打、打率7分7厘。6日には今季の打率が3割を切った。