楽天の守護神松井裕樹(21)が、ピンチをしのいで今季31セーブ目を挙げた。10日のオリックス戦で、2-1の9回に3番手で登板。1死二塁と得点圏に走者を背負ったが、2者連続で空振り三振に切って取った。先発則本昂大投手(26)に12勝目をもたらした。チームは本拠地での連敗を10で止め、8月10日の日本ハム戦以来1カ月ぶりにKoboパーク宮城で勝利を飾った。

 松井裕がグラブをポンとたたいて喜んだ。1点差の9回1死二塁から代打伊藤、代打杉本を立て続けにチェンジアップで空振り三振に切って取った。楽天に1カ月ぶりの本拠地勝利を呼び込む、今季31セーブ目。21歳の若き守護神は「バッターとの勝負に勝った」と胸を張った。

 先頭を二塁内野安打で出塁させた。打球を詰まらせながらの不運なヒット。続く打者は投前犠打で一塁走者が進塁した。だが「バントをやらせて、アウトをしっかりもらえた」と言った。抑え3年目。数々の修羅場をくぐり抜けてきた。得点圏に走者を置いても、心には余裕がある。梨田監督は「一打出れば同点のピンチだったけど、球は走っていた」と言い、信頼してベンチで見守っていた。

 特別な思いを秘めてマウンドに立った。「則本さんの勝ちを意識した。前回のこともあるので」と胸の内を明かした。その前回とは3日のソフトバンク戦。8回まで得点を与えなかった則本が、9回にサヨナラ打を浴びた。ベンチで悔し涙を流し続けるエースに、松井裕や福山が声をかけた。この日先発したエースは、5四球と苦しみ7回1失点で降板。その後を託された福山、松井裕が8、9回を無失点リレーで締めた。

 左肩痛で7月下旬から3週間以上も戦列を離れた守護神は、今月7日の日本ハム戦で史上7人目の3年連続30セーブを達成。この日1つ積み上げ、今季37に到達すると通算100セーブの大台に乗る。「40セーブは目標」と松井裕は言う。残り23試合。1ゲーム差で追う2位西武との直接対決は4試合ある。節目の記録とともに、2位確保へ左腕を振り続ける。【久野朗】