DeNAが崖っぷちでAクラスを死守した。4位巨人とゲーム差なしで迎えた敵地・広島3連戦初戦を先攻逃げ切りし、3-1で5試合ぶりの勝利。負ければ今季ワーストとなる5連敗、Bクラス転落の可能性もあったが、試合前にアレックス・ラミレス監督(42)がナインにゲキを飛ばし、3位をキープ。巨人を0・5ゲーム差で半歩退けた。

 瀬戸際での戦いに、華麗さは必要なかった。DeNAは2回無死満塁。打席の嶺井は初球、左肘付近に死球を受け、押し出しで先制した。続く9番倉本は、一塁強襲でミットをはじきながら、右翼線へ転がる二塁打で2点追加した。泥臭く、がむしゃらに奪った序盤の3点が、この試合の全得点。倉本は「勝負どころだと思っていた。チャンスを自分から手放したくはなかった」と、奮い立たせていた。

 今季ワーストタイの4連敗のムードよりも、奇跡の流れが9連勝中の広島を押し切った。8月に史上初の3戦連続サヨナラ勝利した広島に、同じ顔ぶれの先発陣。先頭を切ったウィーランドが140キロ後半の直球が最後まで衰えず、6回1失点の好投で抑えた。「勝つ流れをつくりたいと思っていた」と、外国人選手としては球団初の5連勝で、後半戦は9戦無敗。5回には投手強襲の打球が直撃するも、浮いた右足スパイクの裏に当たる強運も味方にし、流れを生み出した。

 試合前ミーティングでは、ラミレス監督が珍しく語気を強めた。「打者は1打席1打席を無駄にしないこと。投手はどんな打者にも気を緩めるな。たとえ投手の打席だとしても、1人1人の打者を真剣に、見下すことなく投げるんだ」。投打に呼びかけ、さらに言った。「今、Aクラスにいるプライドを持っていこう」。甲子園の阪神3連戦、中継ぎが打ち込まれ逆転を許していた。だが7回からの継投は、田中健、エスコバー、山崎康が無失点リレーで逃げ切った。

 負ければ5月28日以来3カ月半ぶりのBクラスの可能性もあった。自力で踏みとどまった同監督は「他のチームのことは考えないで、自分たちだけに集中し、1つでも多く勝つことだけを考えた結果」。総力戦による勝ちどきを上げた。【栗田成芳】