阪神藤浪晋太郎投手(23)が、またも勝てなかった。巨人20回戦(甲子園)で2回までに5点の援護を受けながら、3回1/3で4安打4失点降板。4回に死球から崩れ、交代を告げられた。7試合連続で勝利から遠ざかり、2軍再降格も決まった。チームは延長12回を戦った末のドロー。首位広島のマジックを1つ減らし「4」としてしまった。

 藤浪は自身へのいら立ちを隠せずにいた。2回で5点リードをもらいながら、3回1/3を4失点で降板。快勝ムードから引き分けへの流れを作る形となり、表情はこわばったままだった。

 藤浪 感じとしては悪くなかった。悪くなかっただけに、もどかしいです。

 1回は1番陽岱鋼、2番マギーの2者連続三振から3者凡退。2回も3人で終わらせ、味方打線も5得点で援護したが…。3回、先頭7番長野に左中間ソロを献上。まだ4点リードがあった4回に大きく崩れた。

 先頭3番坂本勇への初球146キロがすっぽ抜け、左肩付近にぶつけた場面から苦しくなる。1死一塁から二盗を許し、5番村田にはストレートの四球。6番亀井に適時二塁打、7番長野に2点打を浴び、1点差に迫られ交代を告げられた。

 「打たれたボールも指にはかかっていたんですが…。ボール1個2個、コースが甘かった」。最速158キロの直球には力強さがあっただけに、まさかの早期降板は信じられない結末だ。「野手の方が序盤から点を取ってくれて、楽な気持ちで投げられる状況を作ってもらったのに、試合を作ることができずに申し訳ないです」。降板後は猛省の言葉しか出てこなかった。

 約2カ月半ぶりに1軍復帰先発した8月16日広島戦以来、1度の出場選手登録抹消を挟んで4試合連続与死球。これは自身ワーストタイの長さだ。前回5日広島戦でも四死球から崩れ、4回5失点で降板。2試合連続の背信投球となり、5月4日ヤクルト戦以来の白星が遠い。

 金本監督は「(死球を)ぶつけてからですね。あそこで腕が振れなくなった。ちょっと(ボールが)抜け出すとダメですね。それまではいいけど…」と振り返った上で、今後については「今から話しますよ。みんなで決めますよ」と説明。試合後のコーチ会議で2軍降格が決まった。

 もうレギュラーシーズンの日程は残り3週間足らず。この間の1軍復帰は微妙な情勢となった。とはいえ、その先には日本一へつながるクライマックスシリーズが待っている。1日も早く100%の藤浪に戻ってくれ-。虎党の悲痛な願いが、力に変わると信じるしかない。【佐井陽介】

 ◆阪神先発ローテ事情 今週は藤浪、岩田、秋山、小野、メンドーサの順に先発予定。9日に出場選手登録を抹消された能見は最短でも19日からの再登録となり、藤浪を登録抹消すると18日広島戦の先発が空きになる。代役候補は2軍戦で好投した岩貞、青柳の2人。今日13日巨人戦で先発する岩田が中4日で回る可能性もゼロではなさそうだ。