連勝は止まっても、丸のバットに休みはない。広島丸佳浩外野手(28)が、3点を追う6回にDeNAウィーランドから左越えに22号ソロを放った。チームは9月初黒星がつき、連勝が9でストップしたが、丸は猛打賞をマークして好調を維持。阪神が巨人に引き分け、優勝マジックは4となった。最短あす14日にも本拠地で連覇が決まる。打線のリーダーは、最後の戦いまで平常心を貫き通す。

 本拠地のスタンドを一振りで沸かせた。6回。先頭の丸は外角低めチェンジアップを拾った。打球は左翼席へ。8月27日中日戦(マツダスタジアム)以来の1発で2点差に詰め寄った。打線が苦戦していたDeNAウィーランドから一矢報いる1発で、劣勢の展開で静まり返っていた空気を変えた。

 1、8回にも安打を放ち、8月30日巨人戦(東京ドーム)以来の猛打賞を記録した。チーム6安打中、3安打を1人でたたき出した。それでもチームの敗戦に「たまたまです」と口数は少ない。左右に打ち分け、打率を3割1分に戻した。「今日だけかもしれない。上向いているとか落ちているとは分からない。それはいつものこと」。結果に一喜一憂しない姿勢は、マジックの数字に惑わされないチームの戦いに通じる。

 連勝は9で止まり、9月初黒星を喫した。前回敵地横浜で3戦連続サヨナラ負けを喫したDeNAに、本拠地でも敗れた。今季9勝12敗となり、あと1つでも敗れればシーズン負け越しとなる。ただ、緒方監督は「どこが相手でも1戦、1戦。その日の戦いをするだけ」と、いつものスタンスを崩さない。「相手がDeNAだろうと、阪神であろうと、巨人だろうとね。どこであろうと、またしっかりと明日、我々のゲームをするだけ」と目の前の戦いに集中した。

 週末までの本拠地4試合で地元胴上げするためには、1つでも多く勝たなければいけない。チームのリーダー的存在である丸も、指揮官同様、平常心を貫く。「(本拠地で胴上げを)できれば、それがいい。でも特に意識せず、先は見ないで1戦1戦、戦っていくだけ」。もうすぐそこにある頂点へ。焦らず、着実に歩みを進めていく。【前原淳】