西武中村の一振りがルーキーを打ち砕いた。2点を追う6回1死一、二塁。楽天藤平の5球目、抜けたフォークを逃さず振り抜いた。左翼席に運ぶ2戦連続の26号決勝3ラン。3位楽天とのゲーム差を2・5に広げる1発に「打ち損じたんですけど、思ったより飛んでくれた。何とか入ってくれてよかった」と、静かにうなずいた。

 背中と腰の張りから復帰した6日から打順は6、7番が続く。それでも「(打順への意識は)全くないです」と言い切る。求めるのはチームを勝利に導く、ここぞでの打撃。その結果を積み重ねてきたからこそ、チームメートからの信頼が揺らぐことはない。代わって4番を担う山川は実感を込めて言う。「(4番を)任されるにつれて、すごく大変だと感じた。勝負を決めるところで中村さんはいつもトップを走り続けてきた。本当にすごいです」。

 この日の1発は、まさに勝負どころでたたき出した。打撃の状態も「少しずつよくなっていると思う」と手応えを口にした。20勝4敗の高勝率を飾った炎獅子ユニホームの再着用初戦で逆転勝ち。楽天戦の連勝も引き分けを挟んで9に伸ばした。2位の座を争う負けられない戦い。「いい勝ち方が出来た」という主砲が、力強く打線をけん引する。【佐竹実】