CSは誰が投げる? 阪神先発の岩田稔投手(33)が今季最短の3回6失点でKOされた。この日3位に浮上した巨人がこのままシーズンを終えれば、阪神と甲子園でCSファーストステージを戦うことが濃厚。岩田も先発候補の1人で大事な“前哨戦”だったが、苦い結果になった。藤浪が不振で降格し、右足骨折のメッセンジャーの復帰も不透明。安定感があるのは秋山だけで、苦しい台所事情が浮き彫りに。大敗で巨人戦の10年連続勝ち越しなしも決まり、つらい夜だ。

 G倒の夢は序盤に消えた。先発岩田が2回につかまった。マギーに3ランを浴びるなど、5安打6失点。拙守もあったが、食い止められなかった。「あそこで粘らないと。やられたボールは高かったりした。そこを修正したい」と今季初黒星を反省した。早々の大量失点で、試合の流れは一気に相手に傾いた。打線も決め手を欠いて、完敗。巨人戦との対戦成績は8勝12敗1分け。07年を最後に、10年連続でシーズン勝ち越しを逃した。

 今後に不安を残す敗戦だ。前日12日には藤浪が死球後の乱調で4回途中降板。7人のリリーフ陣をつぎ込んで、引き分けに持ちこんだ。この日は2イニング登板の藤川と石崎が連投になった。シーズン終盤で疲労が蓄積するブルペンにとっては、過酷な試合展開が続く。金本監督は9月に先発陣の奮起を求めていたが、うまくいかない。「リリーフがこういう状態ですから。今日もあわや2回で降板。リリーフがつぶれますから」。鉄壁のリリーフ陣が金本阪神の生命線とも言える。それだけに先発の早期KOは悩ましい限りだ。

 ポストシーズンをにらんでも、先発陣の駒不足は懸念材料になる。この日から藤浪が2軍降格で再調整。岩田も2軍降格の可能性が高くなった。岩貞や青柳が代役に挙がるが、投げてみなければ分からない。メッセンジャーはシーズン中の復帰を目指しているが、まだ計算に入れられない。能見、小野、岩田、メンドーサの調子を見極める必要がある。短期決戦のCSで現状で柱になるのは秋山だけ。先発の立て直しを問われると、指揮官は苦笑交じりに答えた。「何したらいい? 教えてよ。立て直すって…。誰を投げさせようか」。

 一方で3位に浮上した巨人は、層の厚さを見せつける。「もともと力の差がある。メンバーを見ての通り。投手陣ががんばって、打線を抑えていかないと」と金本監督は言った。先発陣を整備しながら、リリーフのやりくりにも思いを巡らせる。シーズン最終盤の局面で、難しいかじ取りを迫られた。【田口真一郎】