清宮君、DeNAにきたらこういう風にして、ああいう風になれますよ! DeNA細川成也外野手(19)が、史上61人目となるプロ初打席初本塁打を放った。4番筒香に続く5番右翼で先発し初出場。1回の第1打席でバックスクリーンに推定飛距離132メートル特大弾を直撃させた。清宮同様に、第2の筒香になれるポテンシャルを見せた。投げては綾部翔投手(20)が初先発初登板で初勝利。ヤングパワーが爆発し43歳の誕生日を迎えたラミレス監督への豪華なプレゼントとなった。

 どういう風に走ったか、全く覚えていなかった。細川の記憶は飛んでいた。初打席で直球をバックスクリーン直撃の決勝3ラン。「頭の中が空っぽでダイヤモンドを走っていた」。ホームベースで一塁走者で生還した筒香に、ハイタッチで「ナイスバッティング!」と迎えられ、尻をたたかれた。ドラフト5位の新人の破壊力は、チームの度肝を抜いた。

 細川 とにかくフルスイングを心がけて打席に立った。すごく緊張してやばかったですけど、打席に入ってからは平常心でできてよかった。

 初々しく話したが、19歳とは思えぬパワーを発揮した。フルスイングを信条に、2月の宜野湾キャンプでは初の対外試合で初本塁打を打ち注目され、シーズンはファームで実戦を積み重ねた。114試合388打席はいずれもチーム1。しかし、打てずに三振の山を築き「三振が嫌で、小さく当てにいってしまった」と、持ち味を忘れたときもあった。高須、小池両打撃コーチから「もっと振れ」と言われ目が覚めた。10本塁打のうち5本は9月。182三振は今や勲章でもある。

 縁起のいいバットだった。1日にCS出場が決まり、急きょ1軍昇格が決定。急いでメーカーにバットを手配。同じような形状で、巨人1万号を打った中井のモデルが試合当日持ち込まれ、打席に立った。ファームの試合をこなしながら、寮では門限の11時まで振り続けた。「1日も欠かさずやってきたことが、今日生きたと思う」。努力に、縁起物のバットが味方した。

 前日2日には早実・清宮幸太郎内野手(3年)が球団と面談を行い、筒香について「どういう風にして、ああいう風になったんですか?」と質問。DeNAが清宮に目に見えて分かるように、金の卵をかえらせようとしている。細川は「筒香選手のように、ああいうバッターになりたいです!」と初々しく宣言。こういう風にして、和製大砲が育っていくのかもしれない。【栗田成芳】

 ▼DeNAのルーキー細川が初打席で3ラン。初打席本塁打は今年6月3日のバティスタ(広島)以来61人目(チームでは67年スチュアート、09年ランドルフ、14年乙坂に次いで4人目)。高卒新人では昨年の広岡(ヤクルト)以来プロ野球6人目で球団史上初。高卒新人6人の中で勝利打点となるVアーチは細川が初めてだ。