5年目で初めての「4番投手」で臨んだ日本ラスト登板を、日本ハム大谷翔平投手(23)はひとりで投げ抜いた。今オフにポスティングシステムを利用してメジャー挑戦する意思を固めている大谷が4日、オリックス25回戦(札幌ドーム)に先発し、2安打、10奪三振で今季初完封勝利を飾った。

 日本ハム栗山監督は時折、目頭を押さえながらマウンドに視線を送り続けた。前日3日の夜に「4番投手」を決断し、送り出した大谷が完封勝利で今季最後の登板を終えた。「最後に内容がある、こっちから見たら悪い内容ばかりだったから。ファンのみなさんに、こういう投手がいたと見せられることが出来た」。

 かねて「夢があるよね」と抱き、大谷にも実現出来るよう伝えてきた「4番投手」が、最高の形で結実した。試合前練習での状態次第では、投手のみに専念させることも視野に入れていた。今季は右足首の故障で、投手では満足に出場出来ず。この日の姿を見て、確信した。「あの必死な感じが楽しそう。必死な姿がオレは大好き。そういうところに人は輝く」と大きくうなずいた。

 大谷は今オフにもポスティングシステムを利用し、メジャー挑戦が濃厚。二人三脚で歩んできた投打「二刀流」の道は、一区切りがついた。指揮官は「本当にいなくなるの? オレは最後にならない方がうれしいよ」と苦笑い。惜しみながらも、再び夢を追い求める大谷の行く先を、輝く瞳で見つめ続けている。【田中彩友美】