阪神福留が安藤の引退試合に花を添えた。初回に中日ジョーダンのスライダーをとらえ、鮮やかに右前へ運んだ。「まずは先制と思い、つなぐ意識で打ちにいった。抜けてくれてよかった」。4番の先制タイムリーでチームは活気づいた。4点リードの7回には、右翼席に18号ソロを放り込んだ。阪神移籍後は15年の20本塁打に次ぐ記録。40歳を迎えても、ますます健在だ。

 今季最終戦に4打席立った。2打数2安打2打点に2四球。去りゆく右腕に期するものがあった。現役を引退する安藤は同学年だ。「勝ちのゲームで、投げてほしかったので、それができてよかった」。セットアッパーを務めた安藤には勝ちゲームがよく似合う。その実現に、キャプテンとして奮闘した。5回の守備では、代打亀沢の左翼線の飛球をダイビングキャッチ。6点リードの展開で、マウンドに迎えられることができた。試合後の引退セレモニーでは花束を贈り、声をかけた。

 福留の上り調子はCSに向け、頼もしい。「少ないチャンスで点を取ってくれて…」と金本監督も目を細める。数々の修羅場をくぐった男の存在は短期決戦でより光を放つ。