さあ、下克上日本一だ! 阪神福留孝介外野手(40)が自身の野球観を日刊スポーツの紙面でつづる「福留STYLE」。2日後に迫ったクライマックスシリーズ・ファーストステージDeNA戦(甲子園)に向けて熱い思いを語った。リーグ2位から日本シリーズまで駆け上がった3年前、そのきっかけとなるバックスクリーン弾を放った勝負師が、短期決戦の心得を説いた。

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 レギュラーシーズンが終わり、CSが迫っています。シーズン中は守備位置が移る(※1)など個人的にも変化があった。ただ、選手というのは言われたところでやるだけ。レフトに移ったということもチームとして監督、コーチがこっちの方がいいというのなら、それは僕たちが何を言うわけではない。守れないわけではない。正直、あまり気にはならなかった。

 打順もそれが4番であろうと、3番であろうと、何番であろうと関係なく、自分の打席では自分ができることをやる。チームが勝つために。それが選手の役目です。(チームトップの79打点は)打順的にはそこ(4番)を打っているので、チームの流れもあるし、たまたまそうなった。別に自分がそれを狙っていっているわけでもない。

 2日後にはDeNAとのCSファーストステージが開幕する。うちとしては甲子園でできる強みがある。やっぱりこういう広い球場で、簡単にホームランが出るとか長打が出るとかいう場所でもない。そういう中で1つのフォアボールであったり、1本のヒットで次の塁まで狙う。そういう意識の方が、このチームにとって大事だと思う。ただ、それは自分が、僕たちが今までやってきたこと。それを変えることはない。

 結局は何も変わらない。変える必要はない。いつも言うけど、自分がやっていないことはグラウンドでは出来ない。自分のやってきたことしか出せない。リーグ2位でCSに出場した14年(※2)も同じ思いだったと思う。やってきたことに対して自信を持っていたら出しやすいだろうし。でも、どうなんだろうと不安のままやっていれば、それ以下のことしか出来ないような気がする。だから自分たちがやってきたことをいかに自信をもってグラウンドに立てるか。それだけだと思う。

 確かに短期決戦のミスは致命傷になる。だからと言ってミスしないようにといって小さくなってもダメ。だからいつも言うのは普段通りにやる。そういう場所で、気負いすぎずに萎縮せず。普段通りにゲームに入っていけるというのが甲子園でできる強みだと思う。気持ちは熱くなっても頭は冷静に。そのバランスが大事なんだと思う。

 やっぱりこれだけ打者が打てない時期とかがあっても、2位という場所を死守できたのは投手陣のがんばりがほんとに大きい。ピッチャーに迷惑を掛けて本当に頑張ってもらってるなという思い。野手はみんな常にそういう(借りのある)気持ちをもってやっている。こいつらが投げているときに何とかしてやろうという気持ちをみんな持っているはず。よく相性(※3)について聞かれるけど、あんまり気にしていない。今季の相性が良かったからといってCSで打てるわけでもない。そこはあまりアテにならない。だからこそフラットな気持ちで臨みたい。(阪神タイガース外野手)

 ※1 チーム事情から6月6日オリックス戦(京セラドーム大阪)でメジャー時代の2012年以来、5年ぶりに左翼を守った。以降、主に左翼として試合に出場した。

 ※2 リーグ2位で出場した2014年のCS。福留はファーストステージ広島戦の初戦(甲子園)に6番右翼で出場。6回に前田からバックスクリーンに飛び込むソロアーチを放った。試合は虎の子の1点を守りきり1-0で勝利。2戦目は0-0の引き分けで突破。その勢いのまま巨人とのファイナルステージを4連勝で勝ち抜き日本シリーズに出場した。

 ※3 今季はDeNA戦で打率3割1分5厘、3本塁打、15打点。広島戦で打率2割9分4厘、4本塁打、17打点と好成績を残している。