ソフトバンクの日本シリーズ行きに黄色信号だ。パ・クライマックスシリーズ(CS)ファイナル第2戦でも競り負け、楽天に連敗。1勝2敗(1勝のアドバンテージ含む)となって、残り試合を3連勝か3勝1敗でなければ突破できない状況に追い込まれた。今日20日はエース則本との対戦になるが、工藤公康監督(54)は「明日は3倍の気力で」と力強く巻き返しを誓った。

 あと1点届かなかった。9回に吉村、鶴岡と代打攻勢をかけたが不発。工藤監督は試合終了の瞬間、ベンチで腕組みしながら喜ぶ楽天ナインの姿を見つめた。

 初回から不運に見舞われた。1死一塁から銀次の右翼前の打球を右翼手川島が後逸。適時失策となり、痛い先制点を許した。川島は「見ての通り。左打者の打球であっちへ弾むのは想定外だった」と悔やんだ。工藤監督は「コーチと重なってちょうど見えなかったが、バウンドが変わったと聞いた。何とか(一塁走者を)三塁に進めないように、前にきたのだろうけれど」。本来内野手の川島を外野で起用しているだけに、責められなかった。

 打線は2試合で3得点。いずれもソロ本塁打だ。この日も4イニングで得点圏に走者を置いたが、無得点。6回は、無死二塁から3番中村晃に送りバントを命じたが捕邪飛に倒れた。工藤監督は「チャンスはつくっている。相手も打たせてはくれない。つなげるところはつなげる。みんなでもう1回、そういう思いを持ってまた明日戦っていきたい」とつなぐ意識を強調した。9月16日のリーグ優勝から1カ月空き、紅白戦だけでは調整が難しかったのか。好調なのが今宮、内川だけでは苦しい。

 今季16勝の東浜、13勝の千賀が先発して楽天塩見(今季3勝)、辛島(8勝)に連敗。今日からは則本(15勝)、岸(8勝)のダブルエースが登場する。2人を打ち崩し、残り4試合で3連勝するか3勝1敗でいかなければ日本シリーズへのキップは手にできない。

 試合前練習で工藤監督は「0%です」と言いながらグラウンドに出て行った。パのCSファイナル初戦で敗れたチームは過去すべて敗退というデータを受けての発言。自虐的な言葉の裏には、選手たちへ「気にするな」というメッセージが込められていたはずだ。この日試合後には「明日は3倍の気力で」と大きな声で切り替えた。王者の意地を必ず見せる。【石橋隆雄】