まさにラッキーボーイだ。ソフトバンク2番手の石川柊太投手(25)が、2戦連続で白星をつかんだ。育成出身で日本シリーズ2勝はプロ野球史上初。第1戦で勝利投手となった千賀から3試合続けて育成出身白星という史上初のパターンで王手をかけた。

 5回1死一塁で梶谷を空振り三振、ロペスを左飛に打ち取った。続く6回は1死二、三塁のピンチをつくって降板したが、嘉弥真、森がリードを守ってくれた。石川は「悪いなりの投球はできた。回またぎでいくとは思わなかった。自分の弱さが出てしまった。最低限の仕事はできた」と、不本意な投球でも勝ち投手になり反省しきりだった。

 勝ち運はおじいちゃんが持ってきた? 9月に福岡・北九州市の小倉にある母方の祖父の墓参りに行った。1人愛車のプリウスで向かい、1人で墓掃除をしてきた。「たまたまですよ」と言うが、その後、中継ぎでCSで1勝、日本シリーズで2連勝と抜群の勝ち運を見せている。自身は東京・品川出身で、近くて観戦に来ることができると、両親もDeNAとの対戦を喜んでいたと話す。

 12月には初めてV旅行に参加し、両親を米国・ハワイに連れて行くつもりだ。「ちょうど旅行の週に、ももクロのライブがあるんですけどね」。大好きなアイドルグループ・ももいろクローバーZのライブよりも親孝行を選んだ。親孝行、祖父への供養を優先したオタク系剛腕が、育成出身選手の星となっている。【石橋隆雄】

 ▼石川が第2戦に続いて勝利投手。育成出身投手がシリーズで2勝したのは初めてで、ソフトバンクは第1戦千賀からシリーズ初の育成出身投手で3連勝だ。同一シリーズでチーム2試合連続勝利投手は16年第5戦、第6戦バース(日本ハム)以来だが、日本人投手では92年第5戦、第6戦伊東(ヤクルト)以来になる。石川は第2戦がシリーズ初登板で、シリーズ初登板試合からチーム2試合連続勝利投手は62年第1戦、第2戦村山(阪神)以来、55年ぶり4人目。