楽天松井裕樹投手(22)が3日、Koboパーク宮城で行われている秋季練習に参加し、かつての戦友との再戦を心待ちにした。DeNAにドラフト8位指名された東北福祉大・楠本泰史外野手(22)は小中の同級生で、横浜・山内小6年時にはともに横浜(現DeNA)ジュニアに選出された。高校から進路は分かれたが、再び同じプロの世界に並び立つ。来年の交流戦、日本シリーズでの対戦と、夢が広がる。

 ノスタルジックな気分に浸りつつも、目は本気だった。秋季練習に合流した松井裕は、かつての戦友との再戦を心待ちにしていた。クライマックスシリーズ前に食事をするほどの仲だった楠本がDeNAに指名され、素直に喜んだ。

 松井裕 自分はパ・リーグに来てほしかった。味方でも敵でも同じフィールドにいれるってことはうれしい。小中が一緒なので、当時の関係者など、楽しんでくれる人は多いと思う。

 同じステージに立つ運命だった。すでに野球をやっていた楠本が小6で転校してきた際、松井裕から「一緒に野球やろうぜ」と誘った。ともに横浜ジュニアに選抜され、山内中では所属した青葉緑東シニアで全国制覇を達成した。地元の桐光学園で躍進を狙った松井裕に対し、楠本は埼玉の花咲徳栄に進んで、違う道を歩むことになった。

 対戦の記憶が鮮明によみがえった。公式戦では高3春の関東大会2回戦で対戦し、松井裕が4-3で完投した。楠本を中前打1本に封じたが、ライトに大飛球を2本も打たれて戦慄(せんりつ)が走っていた。「フェンス際までいった。風がなかったら本塁打にされていた。自分としてはやられたと思った」と、当時の心境を明かした。

 来年のDeNAとの交流戦は横浜スタジアムで行われる。松井裕は胸を躍らせる。「対戦となったら、リベンジの機会。左の巧打者なので、何とかして打ち取りたい。浜スタで良い場面で再戦したい」。松井裕がプロとして先輩の意地を見せるか。それとも4年の雌伏の時を経て、成長した楠本が巧打を放つか。好勝負から、目が離せない。【高橋洋平】