今季再取得したフリーエージェント(FA)権を行使する意思を固めているロッテ涌井秀章投手(31)の選択肢は、米メジャー挑戦か、ロッテ残留の2択に絞られた。山室晋也球団社長(57)が7日、涌井の希望として明らかにした。夢の実現へ向け、国内他球団という選択肢をなくした。

 

 FA申請期間2日目。涌井は公には姿を見せなかったが、千葉市内の球団事務所で山室社長が口を開いた。涌井について「報告は受けてないですが、(担当者が)連絡を取り合っていると聞いてます」と話した。既に前日までに、涌井はFA宣言する意向を球団サイドに伝えている。第1希望は、メジャー挑戦だ。同社長は「当然、残って欲しい」と前置きしてから、「多分、お金の問題じゃない気がする。(13年オフに西武から)来た時から『海外』と本人も言っていた。(意思を)大事にしたい気持ちはある」と続けた。不可欠な戦力ではあるが、挑戦を応援する気持ちもある。

 社長はさらに、涌井の本気度を明かした。「国内他球団には行かないと確認を取っている。国内ならロッテでやりたいと聞いています。海外にチャレンジしたいのでしょう」。4年前は国内FA権を行使し、故郷の千葉で投げるという夢を実現した。次の夢は、メジャーで投げること。だから、再びFA宣言する。シンプルに希望を突き詰めれば、国内他球団が選択肢から外れるのは自然なことだった。

 今後はトレーニングを続けながら、メジャー挑戦の準備を進める。米球界では、先発4、5番手にランクされることが濃厚とみられ、移籍先がすぐに決まる保証はない。それでも、ロッテは門戸を開けている。宣言残留を認めない従来の方針を180度、転換。具体的な残留交渉はFA宣言後だ。山室社長は「補強との兼ね合いがあるから、延々と待っているわけにはいかない」としつつ、「そこまでタイトではない」と強調した。ある程度、メジャー市場が固まるまで交渉窓口を開くことになりそうだ。メジャー挑戦か、愛着のあるロッテ残留か。エースの決断を待つ。【古川真弥】