阪神に入団が決まった台湾代表の左腕呂彦青(ル・イェンチン)投手(21=国立台湾体育運動大)が早くもトラ色に染まった。7日、西宮市内で入団会見を行った最速148キロ左腕は、会見後に即、鳴尾浜の「虎風荘」に入寮。今日8日から19日まで鳴尾浜の2軍秋季練習に参加する。複数年契約で、背番号は未定。推定年俸は800万円。将来性豊かな細身の左腕は、やる気満々だ。

 呂が、早くもトラ色に染まった。西宮市内での入団会見で「呂(ル)と呼んでください」などと笑顔で話した後、すぐに鳴尾浜の寮「虎風荘」に入寮した。このまま寮で生活しながら、19日まで鳴尾浜での2軍秋季練習に参加し、少しでも早く異国の環境に慣れる。いったん台湾へ帰るが、年明けに再来日後も寮生として生活する予定だ。過去にジェンや蕭一傑が寮生活を経験しているが、11月に入団会見して即入寮となると異例のことだ。「海外で野球ができてうれしい。野球だけじゃなく、日本の文化も学びたい」という意欲が表れていた。球団も、会見に同席した嶌村球団本部副本部長が「近い将来、先発ローテーションに入るなどを期待している」と豊かな将来性を評価。着実に育てるつもりだ。

 そんな呂が目指すのは「先発ローテを守れる投手」だ。台湾代表として数々の国際舞台を経験し、日本人選手についても「国際大会で何度も対戦しているので(攻略の)イメージはあります」と胸を張る。台湾でも日本のプロ野球は放送されており、1軍選手ならたいてい知っているという。

 目標の投手として名を挙げたのは同じチームの同じ左腕、能見だった。「能見さんのような投手になりたいです」と目を輝かせた。WBCで投げる姿を見て以来、阪神の左投手といえば能見のイメージで、あこがれていた。この日、ロッカー室を案内されている最中に能見と遭遇。ほんの短い時間で、あいさつをかわした程度だったが、先輩左腕に「頑張れよ」と激励されて感激した。

 台湾U21代表で指導を受けた阪神OBの郭李建夫氏に前日、日本での助言を求めると「礼儀正しくすること、基本を学ぶことが大切だ」とマナーについてアドバイスをもらった。その言葉も肝に銘じる。

 対戦してみたい選手は台湾の先輩、巨人陽岱鋼だ。阪神と巨人がライバル関係にあるというのもネットで調べて把握している。甲子園の大観衆が見守る中、マウンドに立ち、陽と対戦する。そんな夢を実現するため、呂の挑戦が始まった。【高垣誠】

 ◆呂彦青(ル・イェンチン)1996年3月10日生まれ。台湾・高雄市出身。小4から野球を始め、台湾体育運動大では15年光州ユニバーシアード、プレミア12、16年U23W杯、17年BFAアジア野球選手権など代表歴多数。直球のほかカーブ、スライダー、チェンジアップを投げる。178センチ、72キロ。左投げ左打ち。