「BIGWEST BASEBALL CUP」はご存じですか? 東北の学童(小学生)軟式野球大会を男女ともに幅広く主催している団体で、今年で設立13年目。青森県南地域の8チームで始まった活動は、今や北東北を中心に200を超えるチームが参加し、リーグ戦や選抜チームによる大会を開くほどに成長している。「東北の学童甲子園」を目指す活動に、スポットを当てた。

 レベルの高さに驚いた。11月3、4日に秋田・潟上市で行われた「第3回東北県選抜学童野球選手権」。北東北3県と福島から集まった、小6男子による選抜チーム同士の対戦はいずれも熱戦続きだった。「東北の中高強豪校の関係者も見に来ますね。私たちの活動が定着してきたかなと思います」。BIGWEST BASEBALL CUP(以下BBC)の山市幸大(ゆきひろ)事務局長(36)は笑顔をみせた。

 スタートは「過疎化」だった。にんにくで有名な青森・田子町出身の山市さんは、古豪・弘前実で活躍した元高校球児。地元に戻ってきたあと、過疎化や少子化の影響で野球をやる子供たちが減ったことに危機感を持った。

 「中学のころ、やんちゃしていた私を更生させてくれたのが野球と、当時の部長だった大西(一史)先生でした。高いレベルのチームを呼んで、子供たちに夢をあげたい。そう思って、大西先生の名前を借りて大会を開いたんです」

 8チームから始まった小さな大会は、山市さんらの熱意もあって、年々、参加チームが増えていった。チーム数が50を超えたころには、それぞれの地域でリーグ戦も開始。ホームページを使って、結果をすぐにアップすることで子供たちのモチベーションも上がり、評判になっていく。今では200を超えるチームが参加し、リーグ戦や選抜チームによる大会など、年間通して活動中だ。

 今回の東北県選抜学童野球選手権に、岩手県選抜チームの監督として参加した門屋正勝さん(43)。岩手・八幡平市の「岩鷲(がんじゅ)ベースボールクラブ」の監督でもある門屋さんは、3年前からBBCのリーグ戦に参戦した。

 「少子化やスポーツの多様化もあって、学童野球の大会が少なくなっていたんです。試合数が増えて子供たちも喜ぶし、結果が載ったHPをみて、次はどこどこに勝たないと上にいけないな、なんて子供たちも話しています」

 各種大会の上位チームには、全国学童野球大会(ポップアスリートカップ)などの出場権も与えられる。また、地域ごとに選抜チームが組織され、全日本選抜小学生野球選手権などの全国大会にも派遣されている。野球の楽しさ、試合をやる喜びを味わうだけではなく、レベルの高い野球も体験できる仕組みだ。「正直、南東北ではまだまだ認知、理解されていません。早く東北全体に広げていって、東北で毎年、全国大会を開くことが最終目標です」。山市さんらの夢は大きい。

<BIGWEST BASEBALL CUP連絡先>

 ◆MAIL bigwestcup2010@yahoo.co.jp

 ◆大会HP http://bigwest-baseballcup.com/

 ◆電話 090・7320・4468(事務局・山市)