侍ジャパン稲葉篤紀監督(45)が、動いて勝って決勝進出を決めた。サヨナラ勝ちした開幕戦の韓国戦のスタメンから3人を入れ替え、2番松本、8番田村、9番に中村を起用。1点リードの5回、先制ソロを放った“ユーティリティー侍”外崎が中前打で出塁すると、犠打後の1死二塁から三盗を決めた。ノーマークのバッテリーの隙を突き、2死後、四球で出塁した中村も二盗でチャンスを広げた。追加点が奪えない重苦しいムードの中、足で流れを引き寄せ、1番京田の右前適時打で貴重な2点を奪った。

 稲葉監督が掲げる「スモールベースボール+パワー」の野球。5回はさらに京田も二盗を決めて、1イニング3盗塁をマークした。「1点差の中で、あそこの追加点は大きかったと思います。スチールも仕掛けられていますし、8割ぐらいはやりたい野球ができている」と言った。

 7回は2番松本が右翼線に2点適時二塁打を放ち、9番中村は4打席すべて出塁して起用に応えた。試合前夜の午後11時過ぎ、台湾代表の先発が予想していた右腕ではなく、左腕であることが判明。クイック、けん制がうまいとの報告を受けて、打線を急きょ入れ替えた。指揮官は「今日は機動力は使いにくい。送るところは送る。ジグザグ打線にしました」と、左、右、左の打線に組み直した。

 大技、小技を絡め、起用した選手が結果を残して勝利。お立ち台では「皆さん最後は今永選手を期待したと思います、明日今永選手は必ず大事なところでいってもらう…」と、クローザー山崎康と間違えて笑いがわき起こった。思わぬミスもご愛嬌(あいきょう)な快勝で、日韓対決の決勝に歩みを進めた。【前田祐輔】