阪神鳥谷敬内野手(36)がタイ西部の、ミャンマーとの国境に近い難民キャンプを訪問していたことが26日、分かった。15年に発足した一般社団法人「レッドバード」の理事を務めており、アジアの恵まれない地域の子に靴を届ける活動を継続中。今月中旬、日本財団の協力で現地入りし、約500足の靴を寄付した。

 初めて訪れた異境の地では、ミャンマー国内の紛争から逃れた人々が肩を寄せ合って生きていた。靴を持ち込むと歓声が上がり、拍手する子もいた。鳥谷は「子供たちの笑顔であふれていて、こちらまで暑さを忘れて、笑顔で見入ってしまいました」と振り返った。

 14年、野球教室を行うためにフィリピン・マニラを訪れた際、思い知った。「子どもが靴を履いていない。ここに必要なのはグラブじゃない」。靴を集める活動を始めるきっかけになった。昨年12月はマニラのスラム街で靴を渡した。「足をケガして血が出ている子もいた」。傷口から感染症にかかれば命をも脅かす。

 現役のプロ野球選手が難民キャンプを訪問するのは極めて異例。「本当に来て良かったと思えた瞬間がたくさんあり、自分自身もパワーをもらいました」と声もはずむ。今季は2000安打を達成。辺境での時間が来季を戦う原動力になる。

<難民キャンプを訪問した主な著名人>

 ▼黒柳徹子(タレント) ユニセフ(国連児童基金)親善大使として84年にタンザニアを視察して以来、世界の貧しい地域をたびたび訪問。96年に、旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナを視察した際にはスパイ容疑で身柄を拘束されたこともある。

 ▼紺野美沙子(女優) 00年に国連開発計画(UNDP)親善大使としてパレスチナ自治区を訪問。カンボジアなども訪問している。

 ▼菊川怜(女優) 05年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のスペシャルサポーターとしてアフリカを訪問。帰国後の会見で「想像以上の困難な現状にショックを受けた」。

 ▼中田英寿(元サッカー選手) 08年にUNHCRの案内でコンゴ東部を訪問。子どもたちのサッカーを観戦するなどした。

 ▼アンジェリーナ・ジョリー(米女優) 01年にUNHCR親善大使就任。世界各国を訪れ、基金を立ち上げるなど活動。孤児らを養子にしたこともある。12年には同特使に任命された。