ソフトバンクのドラフト5位、秀岳館・田浦文丸投手(18)が、自分を「タヌキ」と呼んだライバルを見返す。27日、ヤフオクドーム内で交渉に臨み、契約金3500万円、年俸500万円(金額は推定)で入団に合意した。同世代で最も注目される日本ハム1位清宮を強く意識。同一リーグに入り「プロで対戦したいねと連絡し合ってます。もちろん、打ち取れる自信はあります」と言い切った。

 1度だけ対戦はある。今年5月、熊本での招待試合だ。秀岳館が4点リードの9回2死走者なし。甲子園も見据え、清宮との対戦を経験させる目的でベンチが前の打者の敬遠を指示。異例の采配が話題になった。田浦は結局、137キロ直球で清宮を一ゴロに打ち取った。試合直後の清宮は「いろいろ感じることはありますが…」と複雑な心境をにじませていた。

 今秋、カナダでのU18W杯で日本代表のチームメートになった。田浦が当時の話題を振ったところ「怒ってなかったですよ」と“和解”。「普段はタヌキみたいだけどマウンドでは頼もしい」と、清宮からほめられた? ことを明かした。

 左腕の武器はU18W杯で世界の打者相手に三振を奪ったチェンジアップ。「オリックス金子さんの動画で軌道とかチェックしてます」。最速148キロの直球との緩急で打者を翻弄(ほんろう)する。直球にも磨きをかけるために「和田さんにどうすれば直球のキレがでるか教わりたい」とライバルとの対決へ、レベルアップは欠かさない。

 「将来は日本シリーズで勝利投手になりたい」。タヌキの置物は「他を抜く」という意味で縁起がいいとされる。田浦がライバルを抑え、トップに君臨する日を夢見てプロの世界に挑戦する。【浦田由紀夫】

 ◆田浦文丸(たうら・ふみまる)1999年(平11)9月21日生まれ、福岡県出身。秀岳館では甲子園に、2年春から3年夏まで4大会連続出場した。今年9月のU18W杯では6試合に登板。うち救援した5試合で12回1/3無失点。「お化けチェンジ」と命名されたチェンジアップを武器に27奪三振を記録。救援投手部門のベストナインを獲得。170センチ、75キロ。左投げ左打ち。