上から横、さらに下へ!? オリックス佐藤世那投手(20)が、下手投げの挑戦に意欲を示した。ウエスタン・リーグ選抜の一員として、今月中旬まで参加した台湾ウインターリーグ(WL)中にオーバースローからサイドスローに変えて試したが、まだ続きがあった。「イメージとしてもっと(腕を)下げたいというのはある」。アンダースローかと聞かれ「そうですね」とうなずいた。プロ入り後に上手から横手への転向は多いが、下手投げなら異例の挑戦といえる。

 WL開幕当初は、従来のダイナミックなフォームだった。同じウ選抜として派遣されていたオリックス小松2軍投手コーチとも相談し、ラスト2試合でサイドを実戦テスト。佐藤世は「高校(仙台育英)時代から体を横に使う動きだったので。昔から練習で投げていて感じも良かった。今しかできないので」と経緯を明かした。

 18日に帰国し、この日は大阪・舞洲のブルペンで約50球を投げ、40球ほどを下手から投じた。酒井育成コーチは「下からの方が面白みがありそう。上からより球を制球できる可能性がある」と話した。仙台育英で15年夏の甲子園で準優勝に輝いた右腕も、2年間は1軍登板なし。働き場所を求めて試行錯誤を続ける。【大池和幸】

 ◆佐藤世那(さとう・せな)1997年(平9)6月2日、仙台市生まれ。南光台東小2年時から野球を始める。仙台育英では1年秋からベンチ入り。3年夏甲子園で準優勝。U18W杯ではエース格として準Vに貢献した。15年ドラフト6位でオリックス入団。今季2軍では12試合で2勝1敗、防御率5・00。181センチ、84キロ。右投げ右打ち。

 ◆オーバースローから転向 成功例として有名なのが皆川睦雄(南海)と斎藤雅樹(巨人)。皆川は入団3年目の56年に肩を痛め、アンダースローに転向。直後の57年に18勝を挙げ、31勝した68年に下手投げでは初の通算200勝を達成。斎藤は藤田監督のアドバイスで1年目にサイドスローへ転向し、3年目の85年に12勝、89、90年には連続20勝を記録。最近では昨年秋季キャンプでサイド転向の嘉弥真(ソフトバンク)がおり、今季は自身最多の58試合に登板、2勝14ホールドと活躍した。