中日は21日、ソフトバンクを戦力外になって退団した松坂大輔投手(37)の入団テストを行うと発表した。来年1月下旬、ナゴヤ球場で森繁和監督らが立ち会ってブルペン投球を実施して判断する。即日、合否が出る可能性もある。入団となれば西武、ソフトバンクに続く国内3球団目で、初のセ・リーグ。日米通算164勝右腕の復活ロードは名古屋から始まるのか。

 米国滞在中の松坂は中日を通じて「チャンスをいただき感謝しています。テストに向けて、しっかり準備していきます」と力強くコメントした。

 キャンプインを間近に控えた真冬の名古屋。異例ともいえる環境下でのテストを松坂は快諾したようだ。国際電話で話した西山球団代表は「復活にかける熱いもの、マウンドに立って投げたいという強い思いを感じた」とし、「自信は?」との質問に「ないとテストには来ませんよ」と代弁するように断言した。

 中日には西武時代から親交がある森監督、友利編成担当がいる。球団内の数人が電話で近況を確認してきた。最近の様子は動画でもチェック済み。ソフトバンク在籍時よりもフォームが修正されており、すでにある程度投げられていることが確認されたという。前日20日の球団取締役会でテスト実施の方針が報告され、事実上の承認を受けた。

 育成契約での獲得予定はなく、支配下契約または不合格となる見込み。合否は当日に出る可能性もある。合格なら沖縄に飛び、ナインとともに2月1日を迎える-。だが、森監督は球団を通じ「まず見てから。自分の目で見て、投げられるか判断します」と獲得ありきではない“ガチンコ”と強調した。投球は室内練習場のブルペンで行い、監督、投手コーチのほか、球団幹部も「平成の怪物」の現状を見極める。

 テストには中日にしかできない演出も用意されそうだ。球団関係者によると、横浜高で甲子園春夏連覇を達成した時の捕手で、今年まで中日の育成コーチを務めた小山良男スカウト(37)も参加する。高校時代から心を通わせてきた相棒とのバッテリーが“復活”するかもしれない。

 ソフトバンクでの3年間は1軍で1試合のみの登板。今季も右肩などの不調に苦しみ、3軍で1試合に投げただけ。それでも現役にこだわり、入団テストの権利をつかんだ。どん底にいるレジェンドが、ひのき舞台を目指して大きな1歩を踏み出す。【柏原誠】