楽天の星野仙一球団副会長が4日午前5時25分に死去した。70歳だった。

 巨人の選手、監督として長く星野氏と戦った原辰徳氏(59=巨人球団顧問)は「信じられないです。気丈な方。(病を)みじんも見せることなく闘われたんだろう」と涙をこらえた。「仏の顔と、勝負師の鬼の顔を持ち合わせていた。メリハリの強さを尊敬していた。13年の日本シリーズでイーグルスと3勝3敗になって、全力で戦いましたが我々が敗れ、胴上げを見ました。あれだけ全力で戦って、姿は見せられませんでしたが心の中で、拍手を送っていました」。単なるライバル関係だけではない絆は、03年に退任した当時の思い出に詰まっていた。

 甲子園球場で肩を抱かれ、原監督は泣いた。「素晴らしい舞台を作っていただいた。『もう1度勉強して戻ってこい。くじけるな』と言っていただいた。その言葉にすべてが集約されていて、明日への活力になっていた」。闘争心を分けてもらい、第2次政権で2度のリーグ3連覇。強い巨人を築き上げた。

 昨年末の野球殿堂入りを祝うパーティーでもらった「よく来てくれた。感謝する」が最後の言葉になった。「中日の星野から阪神、そして楽天。あえて険しい道を選びながら、情熱を持って、野球界を発展させた。最近も広い視野で野球の未来を考え、夢を語られていた。事実を受け止めたときに(思いを)伝えたい」と無念そうに語った。