プロでブレークして母に家を! 北海(北海道)からドラフト3位でDeNA入りする阪口皓亮投手(18)が、新年の誓いを立てた。第1の目標は1軍デビューと新人王。将来的には、女手一つで育ててくれた母京子さん(42)に新居のプレゼントを目標に掲げた。昨夏の甲子園で3回2/3、58球で最速148キロをマークし、プロへの道を切り開いた右腕は7日、横須賀市(神奈川)の青星寮に入寮した。

 歓喜のドラフトから2カ月半、ついに念願の舞台に踏み出す。年末は実家の大阪に帰省。女手一つで育ててくれた母京子さんと話し、恩返しプランを固めていた。

 阪口 僕は即戦力ではないけど、だからといって甘えてはいけない。1、2年目とか、あいまいな考えではなく、1年目から全力で臨み、先輩を追い越してローテに絡むような飛躍をしたい。母には活躍して家を買う約束をした。それを果たせるように、しっかり結果を積み上げていきたいです。

 背番号は12に決まった。日を追うにつれ、プロとしての自覚が増してきた。

 阪口 これまで、チームメートと一緒に歩いていると「北海の人だ」って言われていたのですが、ドラフト後は「DeNAに入る阪口投手だ」と声をかけられるようになりました。変化はありますけど、プレッシャーは特にないです。見られる、見てもらえることで、期待に応えなきゃと思うし、やる気が出てきます。

 着実に下準備を進めている。冬場のテーマは変化より維持。現時点の「阪口」に磨きをかけてきた。

 阪口 体が細いので、ドラフト直後は体を大きくしたいと思っていたのですが、球団から、過度な増量は禁止と言われました。基礎的な腹筋、背筋を維持し、ベストの77~78キロをキープすることを心がけています。ボールもカーブ、カットボール、ストレートと、評価してもらった球種を徹底して詰めることを心がけています。この期間に新球を身につけようとも思ったのですが、まず自分のベストをキープしていこうとシフトチェンジしました。甲子園でのフォームも時折動画で見て、あのときのイメージを、いつでも体現できるようにしています。

 大阪で生まれ、札幌でチャンスをつかみ、横浜で羽ばたく。新天地に赴く上で唯一、苦手だった「中華」を、あっさり克服した。肉体的な下準備に加え“舌準備”も順調だ。

 阪口 11月に中華料理店で仮契約したのですが、そこの料理がおいしくて。中華って、こんなにおいしいんだって。中華嫌いからは脱しましたね。今ではエビチリが大好きです。

 甲子園では3回2/3、58球と決して多くはないパフォーマンスで道を切り開いた。ベースには恩師の言葉があった。

 阪口 ここまで来られたのは平川監督のおかげです。夏の地区予選前に、力の伝え方がうまくいかず、戸惑っていた時期がありました。そのときに「深く考えすぎると底なし沼のようになるから、投げる前に考えすぎるな。プレートを踏んだら余計なことは考えるな」と。あの言葉が甲子園での投球につながったと思います。

 エースの座は逃しても、あきらめなければ夢をつかめると示した。思考は超楽天的。芯には大阪生まれの陽気さがある。

 阪口 努力、努力と思うとつらくなるじゃないですか。常に、近くにある楽しいことを1つ考えるんです。そうすると厳しい練習も乗り越えられる。例えば、この練習が終わったら明日はオフだから、ここでもうひと頑張りしなきゃって。その積み重ねですね。あとは、誰かのために、と思うと力が出ますよね。僕は今でもずっと母や、平川監督への恩返しの気持ちが強いですね。

 今日8日から新人合同合宿が始まる。あこがれから現実へ。力みはない。競争を楽しみながら、新たなステージに挑んでいく。【永野高輔】