身長167センチの小さな左腕がミクロレベルの“モデルチェンジ”に着手した。ヤクルト石川雅規投手(37)が16日、神宮室内での自主トレで投球時の左腕を少し下げてキャッチボールを行った。腕の下げ幅について「これぐらいですかね」と親指と人さし指を2~3センチほど離して表現した。

 見た目では判別が難しいわずかな変化が、投球に大きな違いを生むという。これまでは真上からの投げ下ろしを意識していたが「年を取ると体も変わってくる。今は腕を下げた方が肩が回りやすい」と感じた。プロ16年間で156勝を積み上げたフォームに手を加えるのは、勇気がいる。それでも昨季4勝14敗からの巻き返しに向け「何かを変えないといけないと思うのでトライしてみようと。ちょっとの違いだけど、1年間トータルで考えると体への影響も変わってくると思う」と変化する道を選んだ。

 約40メートルの距離でも少し下げた左腕から糸を引くような軌道を放ち、「感じは悪くない。続けていきます」と目尻を下げた。この日は軸足により体重を乗せようと、右足の上げ下ろしのリズムをゆっくりにする投球法も試した。チーム最年長、今月22日で38歳とベテランの領域にいるが、向上心は尽きない。ヤクルト逆襲の命運を握る左腕は恐れずチャレンジを繰り返し、最高のフォームへと変貌を遂げる。【浜本卓也】