復活へ、順調な1歩を踏み出した。右肩痛で昨季1軍登板ゼロに終わった巨人沢村拓一投手(29)が16日、川崎市内のジャイアンツ球場でブルペン投球を行った。昨年12月下旬から今年1月14日まで自主トレを行ったハワイでも8、9回ブルペンへ入っていたが、国内では今年初のブルペン入り。直球に加え、スライダー、カーブ、シュートなどの変化球を交えて41球を投じた。「向こうでも投げ込んでいたので、今日もいい形で投げられた」と、例年より早めの仕上がりに納得の表情だった。

 乾いた音が室内練習場に響き渡った。半袖姿の右腕が投じた迫力のあるボールは、柳ブルペン捕手がストライクゾーンぎりぎりに構えたミットへ吸い込まれていった。同ブルペン捕手から「この時期でこれだけ投げられたら、今年は楽しみだね!」と声をかけられると、自然と笑みもこぼれた。それでも「飛ばしすぎず、焦らず、ケガをしないようにやっていきます」と慎重な言葉を並べ、先を見据えた。

 実績におごらず、足元を見つめる。16年は37セーブを挙げ、最優秀救援投手に輝いた。だが、昨年は開幕前に右肩痛を発症。失った守護神の座にはカミネロが座り、8回にはマシソンが控える。「プロ野球は常に競争社会。1年間現場を離れているので、自分の立ち位置を理解して、居場所をつくれるようにアピールしたい」。まずは16年9月以来の1軍マウンドへ。結果を出し続け、空白の1年を取り戻す。【桑原幹久】