驚弾連発の自己紹介だ! 阪神新外国人のウィリン・ロサリオ内野手(28=韓国・ハンファ)が沖縄・宜野座キャンプ初日の1日、アーチショーで度肝を抜いた。来日初の屋外フリー打撃を行い、58スイングで左翼後方への140メートル弾を含む14本の豪快柵越えを披露。金本知憲監督(49)も25~30本のアーチを期待するなどぞっこんで、4番を確信したようだ。他球団007もビビらせた愛称「トロ(闘牛)」の新大砲に、史上最強助っ人の予感が漂う。
宜野座の空に舞い上がった白球が、次々とフェンスを越えていく。そして次の瞬間、ロサリオがガツンととらえた一撃は、左翼奥にある防球ネットの上段まで届いた。観客席はどよめき、外野を守る選手も、着弾点をあぜんと見つめていた。推定140メートルの特大弾だ。58スイングで14本の柵越え。それも左への12本をはじめ、中へ1本、右へ1本と広角にも打ち分け、弾丸ライナーのまま芝生席に突き刺さる場面もあった。
周囲は驚弾連発に目を見開くが、ロサリオは涼しい顔で、自身の状態を説明する。「75~80%ぐらいかな。時差の関係でまだうまく寝られてないので、それも影響していると思う。しっかり練習して寝られるようになったら、また打球も変わると思う」。時差ぼけでも脅威の飛距離。これが100%全開なら…。底なしのパワーに期待が高まる。
ケージ裏で見守った金本監督もぞっこんだ。「パンチもありますし、右の方にうまくミートする力もある。多少、追い込まれてでも、どんな球でもバットに当てることができそうな感じがする」と飛距離とともにミート力に注目。その言葉通り、ゴロも少なく、ライナー性の当たりばかりだった。「25から30(本塁打)くらい(打ちそう)。振る力があるから。慣れてきてアジャストしてきたら、打つだろうなというのが感じられるよね。だから、我慢して使える」。今季の4番候補に期待を膨らませた。
バットだけではない。投内連係では一塁に入り、6度あった守備機会でミスなし。逆シングルで捕球し、二塁送球も華麗に見せた。金本監督が「スローイングもいいと思うし、うまかった。元捕手やからね。捕手はグラブさばきがうまい」と絶賛したほどだ。5カ所ノックでも38本目までノーミス。福留、糸井、鳥谷、西岡の同組メンバーがエラーする瞬間を見ると声を出して“いじる”など、性格もOK。指揮官も「真面目で明るい」と目を細めた。
100キロ超の巨体に似合わず、30メートル走でも軽やかに疾走。指揮官は「体格の割にはね。(前に)進んでいたね」と合格点を与えた。打ってよし、守ってよし、走ってよし、性格よし。金本監督が「4拍子」にホレ直すほど、歴代最強助っ人の予感も漂う。頼れる4番を軸とした得点力アップは長年の課題。13年ぶり優勝の使者を期待させる「ロサリオ劇場」が、最高の形で幕を開けた。【真柴健】