今季のチーム第1号は、やっぱりこの男だった。ヤクルト山田哲人内野手(25)が10日、春季キャンプ(浦添)2度目の紅白戦に紅組の「3番二塁」で先発。1回2死で、白組先発の由規投手(28)の内角146キロ直球を左翼席にライナーで持っていった。今キャンプは「軸となる右足にしっかりと体重を残す」ことがテーマ。昨季苦しめられ直球を仕留め、取り組みの成果を示した。

 鋭い弾道が、一直線で左翼席へ描かれた。カウント3-1からの5球目、山田哲は内角寄りの直球をクルリと軸回転で振り抜いた。ドライブ回転が掛かった打球が、フェンスを越えた。今季1号に「バット自体は触れています」と笑顔で振り返った。

 試行錯誤を繰り返す。昨季は直球に差し込まれ、変化球には体勢を崩された。練習から、宮本ヘッドコーチらに体が投手方面に突っ込んでいないかをチェックしてもらうなど、泳がされずに自分の形で打つフォームを体に染み込ませている。「自分的にはまだまだ完璧じゃない。しっくりこないのもある。頭の中がごちゃごちゃ」と苦笑いしつつ「(本塁打は)結果的にいいスイングができた証拠。毎日同じスイングができるようにしたい。真っすぐをしっかりとらえられた。持ち味と思うので良かった」と手応えもつかんでいる。

 練習の成果を発揮したのは、山田哲だけではない。特別ルールのため最終回だった5回裏には、4点を追う白組が2死から上田とドラフト6位宮本丈内野手(22=奈良学園大)がファウルで粘って四球でつないで満塁とし、一発同点の好機を演出した。宮本ヘッドコーチは「結果以上に粘りのある打席。本塁打で同点まで粘れたのは良かった」と、石井琢打撃コーチら首脳陣が行っているミーティングの成果を感じ取った。山田哲をはじめ、ヤクルト打線が、着実に成長を見せている。【ヤクルト担当 浜本卓也】